2015年11月14日土曜日

牧師の日記から㉜「日本盲人職能開発センターのこと」
JR四ツ谷駅や地下鉄曙橋駅周辺で、白杖を手にして歩く視覚障碍者に度々出会います。近くに盲人のための施設があるのだろうと思っていましたが、それ以上深く考えていませんでした。ある時、何気なく周辺の地図を眺めていて、教会のすぐ近く、四谷坂町から四ツ谷駅に行く途中の本塩町の路地を入った所(YMCA同盟の裏あたり)に「日本盲人職能開発センター」という施設があることに気がつきました。気になって、先日、訪ねてみました。施設長の杉江勝憲さんが親切に応対してくださり、この施設の歴史や働きについて詳しく伺いました。また施設の見学もさせて頂きました。
この施設は社会福祉法人として設立され、既に30余年の歴史があります。関西のライトハウスと同じような役割を担っていますが、特に音声パソコンソフトを用いて視覚障碍者の職能開発に取り組み、新しい雇用促進を担っているということです。二階には、視覚障碍者のための作業所「東京ワークショップ」が併設されています。官庁や企業などの議事録の録音テープを聴きながら、視覚障碍者の作業員たちがずらっと並んで黙々とパソコンで文字入力していました。ずっと以前は、カナタイプ方式だったそうですが、現在は全面的に日本語ワードプロセッサーが導入されています。視覚障碍者はローマ字入力は出来ても、漢字交じり文に変換することがどうして出来るのか不思議に思いました。ところが、「フルキー六点漢字入力」という独自に開発されたソフトを用いて、完璧な議事録を作成することが可能になっているのです。もちろん晴眼者の協力者がチェックをしますが、しかし必ず視覚障碍者にフィードバックをして入力者本人が修正する仕組みになっています。きわめて高度な技術が必要ですが、現在約40名の視覚障碍者たちが毎日通勤して来ます。それで、白杖を持って歩く人をこの近くで度々見かけるのだと分りました。
その他にも、この技術を習得するための訓練コースや様々な職能訓練コースもあります。また就労支援もしています。このセンターを経て、一般企業や官庁などに正規職員として就労した障碍者が既に80人以上いるそうです。この施設は、視覚障碍者のための拠点として大きな役割を担っているのです。

以前仕えていた深川教会にも、東駒形教会にも全盲の教会員がいました。それで直子さんは、簡易点字タイプライターを用いて、週報や讃美歌の歌詞を毎週点訳していました。また私の友人が盲人伝道協議会という団体の主事を担っていて、視覚障碍者のための様々な活動をしています。現在、千代田教会には視覚障碍者がいませんが、点訳聖書も用意されています。視覚障碍者の存在を覚えたいと思います。(戒能信生)

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