2024年3月16日土曜日

 

牧師の日記から(460

310(日)主日礼拝。ルカ福音書2254-62の講解説教「大祭司の中庭で」。ルカ福音書のペトロは、イエスの捕縛後も「遠くから従った」と記される。すなわちペトロは逃げ出したのではなく、大胆にも大祭司の中庭にまで忍び込んだことが強調される。しかし「あなたのためなら死んでもよいと覚悟」していたそのペトロにして、一人の女中からの問いかけに、「その人を知らず」と答えてしまう。この大祭司の中庭で、焚き火に当たりながら雑談している時に自らの信仰が問われるとは思っていなかったのだろうか。その時、鶏が鳴く。私たちの信仰の内実が問われるのは、自分の日常生活のただ中でこそという使信がそこに込められている。礼拝後、婦人会総会で婦人会の存続が議される。私はその途中で失礼して、神学校時代の古い友人山信彦さんが岐阜から来て礼拝に出席されたので、一緒に四谷駅前に出て食事。50年ぶりの再会を喜ぶ。

11日(月)午前中、門前仲町の歯科医で定期検診。帰宅して1時から日本クリスチャン・アカデミーの理事会にZoomで参加。来年度の事業計画と予算案が承認される。これでNCAにおける私の責任も一区切り。

12日(火)午前中、錦糸町の賛育会病院で肺のCT検査と内科の定期検診。検査の結果は安定しているが、念のために内臓のエコーと胃カメラの検査をすることになる。この年になると身体のあちこちにガタが来ていることを痛感する。一度帰宅して、午後4時から弓町本郷教会での北支区教師部例会に出席。この春、7人の牧師が北支区を離任するのでその歓送会も兼ねている。その後、近くの中華料理屋で懇親会。板橋大山教会を辞任して隠退される竹花和成牧師と親しく話すことが出来た。

13日(水)午後、南北線の「東大前駅」で高岸泰子さんと落ち合い、本郷の慈愛病院に高岸徹さんを見舞う。簡単な会話は出来、意識もはっきりしているが、食事が摂れないのでかなり衰弱してきているようだ。徹さんの枕許で日々の聖句を読み短く祈る。

14日(木)宗宮進牧師のご遺族から、一昨日亡くなったとの連絡が来る。『時の徴』の購読者も高齢化し、長く購読してくださった人々の訃報が届くと、やはり寂しい。来週実施される神学生交流プログラムの準備。

15日(金)隠退教師の安田俊朗牧師から電話で、蔵書の整理について相談される。私がこれまで利用してきた大阪の古書店を紹介する。ほとんどお金にはならないが、ゴミとして処理されるよりは、必要な人に流通されることを期待する。夕方、松野ヤスコさんの後見人をお願いしている松居智子弁護士から電話。ヤスコさんの様態が急変し、施設の近くの高木病院に入院したとのこと。万一の際、千代田教会で葬儀をお願いしたいと唯一の縁者である姉上の伊藤地塩さんが希望しているとのこと。ヤスコさんの所属教会である柏教会の春原牧師に電話をして了解を得る。またその経緯を鈴木志津恵さんにメールで報せる。(戒能信生)

 

2024年3月17日 午前10時30分

受難節第5主日礼拝(No48

             司式 高岸 泰子

前  奏  黙想     奏楽 梅本 順子

招  詞  93-1-31

讃 美 歌  23

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編119・33-40(へー)

讃 美 歌  549

聖書朗読  イザヤ書63・15-19

      ルカ福音書22・63-71

祈  祷

讃 美 歌  289

説  教  「最高法院の裁判」

戒能信生牧師

讃 美 歌  309

使徒信条  (9341A

献  金              橋本 茂                       

報  告  

頌  栄  89(2度繰り返して)

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(休校)

・礼拝後、オリーブの会「今年度のオリーブの会を振り返って」(軽食の用意あり)

ライブ配信担当・荒井眞

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

2024年3月9日土曜日

 

牧師の日記から(459)「最近読んだ本の紹介」

石垣りん『詩の中の風景』(中公文庫)本書は、この詩人が、『婦人の友』に5年にわたって連載した詩文集を文庫化したもの。佐藤春夫から始まって最後は石垣りん自身の詩に至るまで、有名無名の53人の詩を取り上げ、それを詩人自身がどう読んだか、どう味わったかを紹介している。必ずしもその詩人の代表作ではなく、「くらしの中によみがえる」と副題がつけられているように、詩人自身の生活の中にその詩がどう響いたかが記されている。これはある意味で、詩をどう読むのかの具体例を示す一種の入門書と言えるだろう。もっと早くこの詩人と出会っていたら、そしてこの本を読んでいたら、もっと豊かに詩を楽しめたのにと、今頃になって後悔している。私は詩と不幸な出会いをしている。確か小学校の2年生の時、国語の時間に詩を教えられた。どんな詩だったかは忘れてしまったが、普通の文章と詩の違いについての教師の説明がどうしても納得できなかったことだけは鮮明に覚えている。それ以降、無意識のうちに詩を避けるようになった。だから私は詩のよい読み手ではない。それでも、人に紹介されたり勧められたりして、山村暮鳥や金子光晴、山之口貘、まどみちお、石原吉郎、谷川俊太郎といった詩人たちの詩を、分からないなりに読んで来た。教会学校や子どもの祝福のお話しに引用したりもした。しかし女性の詩人の詩を読んだことはなかった。女流作家の小説を避けてきたことも関係があるかも知れない。ところが、羊子に勧められて石垣りんのエッセー集『朝のあかり』を読んで、すっかりこの詩人の文章に引き込まれてしまった。この人の詩はもちろんのこと、エッセー集にも片端から目を通した。戦時下、女学校を出るとすぐに家族を支えるために銀行に勤め、生涯結婚せず、停年まで勤め上げた彼女は、自らの生きる証しとして詩を書き続けた。それは難解な言葉を避けた生活の中からの鮮烈な言葉で綴られる。一つだけ紹介する。

「崖 石垣りん

戦争の終り/サイパン島の崖の上から/次々に身を投げた女たち。

美徳やら義理やら体裁やら/何やら/火だの男だのに追いつめられて。 

とばなければならないからとびこんだ。ゆき場のないゆき場所。

(崖はいつも女をまっさかさまにする。)

それがねぇ/まだ一人も海にとどかないのだ。十五年もたつというのに/どうしたんだろう。/あの/女。(『表札など』1962年)

茨木のり子『一本の茎の上に』(ちくま文庫)石垣りんの次は、当然のことながら茨木のり子。この女性詩人の書いたエッセー集で、とりわけ金子光晴や山之口貘との交友を綴った文章が素晴らしい。50歳を過ぎてから韓国語の習得に挑戦し、韓国の詩人たちと交流し、その詩の紹介もしている。特に尹東柱についての文章に胸を打たれる。(戒能信生)

 

2024年3月3日日曜日

 

2024年3月10日 午前10時30分

受難節第4主日礼拝(No47

             司式 釜坂由理子

前  奏  黙想     奏楽 内山 央絵

招  詞  93-1-31

讃 美 歌  23

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編119・25-32(ダレト)

讃 美 歌  192

聖書朗読  詩編22・1-3

      ルカ福音書22・54-62

祈  祷

讃 美 歌  470

説  教  「大祭司の中庭で」

戒能信生牧師

讃 美 歌  532

使徒信条  (9341A

献  金              萩原 好子                       

報  告  

頌  栄  89(2度繰り返して)

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(休校)

・礼拝後、婦人会総会

ライブ配信担当・荒井久美子

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

2024年3月2日土曜日

 

牧師の日記から(458

225日(日)主日礼拝。ゼカリヤ書8章の講解説教「平和の種が播かれ」。久しぶりに旧約聖書を取り上げ、小預言者から学ぶ。第二神殿建築を支えた指導者ゼカリヤの預言だが、特に8章の預言は、きわめて現実的なメッセージに溢れている。先輩預言者のハガイが殺された後、慎重に言葉を選びながら、しかし「真実と正義に基づく」励ましの言葉を語る。ボンヘッファーの獄中書簡の言葉「今の時代には、祈ることと正義を行うことが求められている」と響き合うものを読み取れる。礼拝後、週報等の発送作業。その後フルートアンサンブルらふぁえるの練習。西川穂さんと昼食を共にしながら、卒業後のことについて話し合う。

26日(月)午前中、月曜会に出席のため東駒形教会へ。大貫隆さんの『終末信仰の起源と変遷』を本所緑星教会の岡田いわお牧師の紹介で読む。午後、久しぶりに隠退教師の上垣勝先生が訪ねてくれる。神学校時代の同級生でもあり、率直に心を開いて話し合える友はありがたい。『羊の群』の説教原稿を書いて、編集担当の橋本茂さんに送る。教団出版局から並木浩一先生の『ヨブ記を読もう』が送られてくる。先に刊行した『ヨブ記注解』に続き、並木ヨブ記論の一種のガイドブックのようだ。

27日(火)午前中、神学読書会。ハルナックの名著『マルキオン』を読んでいる。この日は、豊島岡教会の浜田美也子牧師の発題で第8章を取り上げる。午後、『柏木義円研究』の編集後記を印刷所に送稿。夜遅く、金斗玄さんから電話で、4月に岡山の高梁教会で「教会元気プロジェクト」を実施する予定が、講師の大野寿子さんが急病で、代わりに行ってくれないかとの依頼。教会総会直前の時期なので残念ながらお断りする。

28日(水)午後、高岸徹さんを病院に見舞いに行こうとして泰子さんに連絡を取ったところ、転院先が本郷の慈愛病院に決まったとのこと。転院してから改めて見舞うことにする。夕方、今週金曜日の支区連合祈祷会のZoomのテスト。王子教会で行われるが、東日本大震災を覚えて新生釜石教会の柳谷牧師がリモートで奨励をしてくれることになっている。

29日(木)午前中、確定申告の書類を作成して税務署に提出。ところが医療費について、病院・薬局ごとの明細書を出せと言われる。昨年までは領収書だけで済んだが制度が変更されたという。やむなく持ち帰って直子さんに作成してもらう。11時からZoomでキリスト教会館管理組合の委員会。午後税務署に確定申告を提出してホッとする。来週の定例長老会の準備をして、長老の皆さんにアジェンダを送る。この間ずっと祈りの課題としていたことに一つの道が示された。しかし心は重い。

30日(金)来年度の北支区連合祈祷会の奨励者の依頼と交渉に一日を費やす。夜は王子教会での連合祈祷会で、特に東日本大震災の被災教会を覚えて祈りを合わせる。長尾有起牧師が王子教会でイキイキと活躍している様子を見て嬉しかった。(戒能信生)

2024年2月25日日曜日

 

2024年3月3日 午前10時30分

受難節第3主日礼拝(No46

             司式 石井 寛治

前  奏  黙想     奏楽 釜坂由理子

招  詞  93-1-31

讃 美 歌  23

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編119・17-24(ギメル)

讃 美 歌  153

聖書朗読  ヨシュア記23・1-8

      ルカ福音書22・47-53

祈  祷

讃 美 歌  288

説  教  「闇が力を振るう時」

戒能信生牧師

讃 美 歌  530

使徒信条  (9341A

献  金  対外献金「土沢教会の働きを覚えて」         野口 倢司                       

報  告  

頌  栄  89(2度繰り返して)

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(休校)

・礼拝後、定例長老会

ライブ配信担当・西川穂

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

 

2024年2月24日土曜日

 

牧師の日記から(457

218日(日)主日礼拝。ルカ福音書2239-46の講解説教「御心のままに」。ルカ福音書の「オリーブ山での祈り」のテキストは、他の共観福音書と比べると、分量的に半分に短縮され、イエスの「もだえ苦しみ」や弟子たちの居眠りのモティーフが簡略化される。それはすべて「御心のままに」というイエスの祈りの言葉を強調するためではないか。因みに、11章のルカ版「主の祈り」には第三祈願「御心のままに」が省かれ、「オリーブ山での祈り」に集約されている。午後、蒔田教会で、神奈川教区オリエンテーション講演「教団成立の問題と課題」。これまで書いたり話したりしてきた内容をまとめて話したが、参加者がよく聞いてくれた。その後、旧知の北村慈郎・岡安博さんたちと横浜に出て一緒に食事。二人共お連れ合いを亡くしていて、帰っても独りで食事をしなければならないという。久しぶりに信頼する昔の仲間とゆっくり話せてよかった。

19日(月)昭和医大豊洲病院に、高岸徹さんを見舞う。午後2時に病院のロビーで泰子さんと待ち合わせ、8階の病室を訪ねる。熱は下がり、誤嚥性肺炎の症状は治まっているが、食事が摂れないので鼻から栄養補給をしている。静かに眠っている徹さんの枕許で、「日々の聖句」を読んで短く祈る。夕方、大森意索さんが来てくれる。4月から千代田教会に復帰されるが、月一度は岡山の母教会の応援、もう一度は卒論のこともあって実習教会の巣鴨ときわ教会に行くとのこと。

20日(火)午後、NCAの事務所に行き、来年度の事業計画と予算について打ち合わせ。2時から読書会「キリスト教と文学」で、スティーブン・キングの『グリーンマイル』を取り上げる。刑務所と死刑囚をテーマにした一種のファンタジーなのだが、そこにキリスト教的な含意が散りばめられていることに改めて気づかされた。つまり主人公の看守は、言わばイエスを十字架刑に処した百卒長の位置に当たることになる。

21日(水)午前中、四ツ谷駅に出向き、23日の京都行きのチケットを購入。連休で混雑することが予想されるため。NCA運営委員長の交代や来年度の事業計画についての案内を作成。研修会での発題の準備も。

22日(木)午前中、3月の予定表を作成。雨の中、午後からNCAの事務所に出向き、『話し合い』の発送作業など。4時から、神学生交流プログラム準備会をZoomで。明日から京都に出かけるので、その準備。

23日(金)久しぶりの京都。一泊でNCAの理事・評議員研修会。財政難や施設の老朽化など問題が山積しているが、日本クリスチャン・アカデミーの今後について話し合う。私も関東活動センターを代表して報告する。もう10年以上責任を負わされてきたが、ようやく次の世代にバトンタッチできる。この間の苦難を共に乗り越えて来た旧友たちと歓談。

24日(土)9時半で研修会を中座し、新幹線で帰京。2時から「柏木義円の日記を読む会」に参加。大正8年の日記を取り上げる。(戒能信生)