2020年4月26日日曜日


2020年5月3日 午前10時30分

復活節第4主日礼拝(No5

      司式 野口 倢司

    奏  黙 想        奏楽 内山 央絵

招  詞  93-1-35

讃 美 歌  11

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編97・1-12(着席のまま)

讃 美 歌  318

聖書朗読  イザヤ書61・1-4

使徒言行録18・12-23

祈  祷

讃 美 歌  455

説  教  「旅はなお続く」

     戒能 信生牧師

讃 美 歌  478

使徒信条  (9341A

献  金  「名古屋東教会会堂建築のために」           荒井  眞 

報  告

頌  栄  46(2度繰り返し)

派遣・祝福

後  奏 



【本日の集会】

・教会学校(休止)

・礼拝後、定例長老会は中止とします。

2020年4月25日土曜日


牧師の日記から(263)「最近読んだ本の紹介」

小林和幸編『明治史研究の最前線』(筑摩選書)明治史研究のシンポジウムをまとめた一冊。実証的な史学研究の立場からの明治史研究の現状を知ることが出来る。政治、外交、軍事、思想、文化などあらゆる領域についての最近の研究動向が網羅されている。かつて、家永三郎と丸山眞男がこの領域で抜きん出た存在だった。しかし丸山が今でもしばしば取り上げられるのに対して、家永が引用されることはほとんどない。そこに政治学と歴史学の違いがあるという。つまり敗戦の体験を踏まえて、戦前の日本社会をただ否定的に観るのではなく、またマルクス主義的イデオロギーからも離脱して、実証史学の観点から明治史を捉え直す傾向が顕著になっているようだ。例えば宗教史研究の領域では、村上重良などの国家神道vs民衆宗教という枠組みは「崩壊」したとされる。つまり、実証史学の立場からは、戦前において国家神道が他の宗教の上に屹立していたとは言えないというのだ。しかしそれでは、戦前あらゆる領域を重しのように支配していた絶対主義天皇制の問題は解けないのではないか。このような史学研究の最近の傾向は、現在のこの国の政治状況を確実に反映していて、やはり問題に感じさせられた。それはキリスト教学、あるいは神学の領域においても共通するのだろう。

辻惟雄『伊藤若冲』(ちくまプリマ―新書)『動植綵絵』や「群鶏図」で知られる伊藤若冲の生涯と主要作品が簡略に紹介され、さらに最近の研究動向についても解説してくれる。新書版なのにカラー図版がふんだんに掲載されていて、お得な一冊。最近「京都錦小路青物市場記録」なる文書が発見されて、そこに若冲が登場する。若冲の生家、八百屋・舛源のあった錦小路青物市場(現在も存在する錦市場のこと)が、1771年、奉行所から突然、営業停止処分を受ける。若冲は年寄役として政治力を発揮し、生産農家とも連携して粘り強く交渉して市場再開に漕ぎつけたというのだ。あの孤高の天才若冲のイメージからかけ離れた事実が提示される。また若冲の絵の精神医学的分析から、若冲は「自閉スペクトラム」(アスペルガー症候群)と診断されるという驚くべき研究が紹介される、奇想の天才画家と思われていた若冲のイメージが確実に変わること請け合い。

ガレット・ワイヤー『最後のドラゴン』(あすなろ書房)羊子推薦のファンタジー。魔法使いによってツボに変身させられた若きドラゴンが、第一次大戦と第二次大戦を生き抜き、やがて魔法を解かれてウィーンに現れる。そして一人の少女と出会い、力を合わせて魔法使いと闘って、捕らわれていたドラゴンたちを解放する。しかし、その代償として少女はドラゴンとの友情を忘れなければならない。こう書くといかにも突飛なファンタジーと思われるだろうが、なかなかどうしてリアリティーがあり、とてもおもしろかった。ウィーンに現れたドラゴンの群れを、中東からの難民の寓意として読むこともできるようだ。(戒能信生)

2020年4月19日日曜日


2020年4月26日 午前10時30分

復活節第3主日礼拝(No4

      司式 橋本  茂

    奏  黙 想        奏楽 内山 央絵

招  詞  93-1-35

讃 美 歌  16

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編96・1-13(着席のまま)

讃 美 歌  329

聖書朗読  サムエル記3・1-21

祈  祷

讃 美 歌  189

説  教  「僕は聴いています」

     戒能 信生牧師

讃 美 歌  504

使徒信条  (9341A

献  金             荒井久美子 

報  告

頌  栄  331(2度繰り返し)

派遣・祝福

後  奏 



【本日の集会】

・教会学校(休止)

2020年4月18日土曜日


牧師の日記から(262)「最近読んだ本の紹介」

山本太郎『感染症と文明』(岩波新書)新型コロナウィルスの感染拡大で、改めて感染症の歴史を理解するために読んだ。与えられた知見は数多い。先ず、私たちの病気には大きく分けて感染症系と非感染症系の二つがあるという指摘。高血圧とか糖尿病、脳梗塞といった生活習慣病、さらに癌や心筋梗塞といった現代人の死亡原因の上位を占めるお馴染みの病気はすべて非感染症系。しかし歴史的に人類を脅かし、大きな脅威であり続けたのは、天然痘、結核、ペスト、コレラなどの感染症だった。医学は、主にこれらの感染症を解明し、治療薬やワクチンを発見する中で発達して来たと言える。そして20世紀に入って公衆衛生が整い、ようやくこれらの感染症を撲滅したかと考えられていた。ところが最近になって、新型インフルエンザ、エボラ出血熱、エイズ、そしてSARSMERS、さらに今回の新型コロナウィルス(正式名称COVID-19)といった新しい感染症が次々に発生するようになる。それらの多くは、自然界や動物たちの間で眠っていて、精々特定地域の風土病でしかなかったものが、乱開発によって人類が境界を越えて自然界を侵したことからヒト・ヒト感染へと変異し、さらにグローバリズムによって瞬く間に世界中に拡がるようになったという。以前読んだジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』などで、感染症が人類の歴史に大きな影響を及ぼしてきたことは知っていたが、改めてその脅威に目を開かせられた。巨視的に見れば、人類が地球の許容度を遙かに越えて膨張し、臨界点を越えたが故の自然界の反撃と言えるのかもしれない。しかしこの新しい病原菌が、私たちの社会に突き付けている問いは深刻かつ重大だろう。私は自分の人生の終盤に出会ったこの新しい感染症について、その宗教的、神学的な意味を改めて考えさせられている。

スティーブ・ジョンソン『感染地図』(河出文庫)1854年のロンドンでコレラが大流行する。まだコレラ菌が発見される前だったので、その原因について様々な見解があった。テムズ川の汚染説、瘴気説、気温・湿度説、さらに神の審判説等々。ジョン・スノウという医師が、こつこつと罹患者の感染地図を作り、井戸水に汚水が流れ込んだという説を唱える。様々な反論の中で、井戸水ポンプの柄を取り外すことによって疫病は収束する。公衆衛生学がここから始まったとされる。その過程をドキュメンタリー・タッチで描いており、なかなか迫力があった。

ウィリアム・アレグズザンダー『影なき者の歌』(東京創元社)羊子の推薦で読んだ『仮面の街』の続編。前著と同じ時代設定で、今度は全く別の少女を主人公とするファンタジー。自分の影(自らの分身である自我を象徴しているのだろうか?)と分離してしまい、影なき者(生ける死者)になってしまった主人公が、家を出て数々の冒険の末、音楽を通して自分の影と和解して再び合一するまでを描く。前作よりもはるかに読みやすく、おもしろかった。(戒能信生)

2020年4月12日日曜日


2020年4月19日 午前10時30分

復活節第2主日合同礼拝(No3

      司式 高岸 泰子

    奏  黙 想        奏楽 戒能 直子

招  詞  93-1-35

讃 美 歌  16

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編95・1-11(着席のまま)

讃 美 歌  327

聖書朗読  出エジプト記15・1-11

      使徒言行録18・1-

祈  祷

讃 美 歌  424

説  教  「テント張りの職人として」

     戒能 信生牧師

讃 美 歌  467

使徒信条  (9341A

献  金             橋本悠久子 

報  告

頌  栄  331

派遣・祝福

後  奏 



【本日の集会】

・教会学校(休止)

牧師の日記から(261)「教会員の皆さんへ」

新型コロナ・ウィルスの感染拡大で、皆さんもそれぞれ逼塞を余儀なくされていると思います。45日の長老会で、千代田教会としての当面の姿勢について話し合いました。主日礼拝はいつものように継続するが、それ以外の集会は、教会学校も含めてしばらく原則として休止にすることになりました。

その後、緊急事態宣言が出て、外出そのものの規制が呼びかけられています。日本基督教団の諸教会でも、礼拝を中止にして、ネット配信に切り替えるところもあります。千代田教会では、牧師家族とご近所の教会員数名だけでも、何とか主日礼拝だけは継続したいと考えています。しかし教会員の皆さんは健康状態や交通機関のことも考慮して、決して無理をされないようにお願いします。礼拝に出席できない皆さんも、日曜日の午前10時半から千代田教会の主日礼拝が行われ、祈りがささげられていることをお覚えください。

教会関係の集会も休止になり、私の関係する研究会や勉強会などの予定もほとんどすべてキャンセルになっています。こうして生れた時間的余裕をどう使うべきか考えていたところ、感染症の歴史を取り上げた書物に、次のようなエピソードを発見しました。「17世紀の半ば、ロンドンでペストが流行し、約10万人の死者を出した(これがヨーロッパで最後のペストの流行だった)。この時期、ケンブリッジのトリニティ・カレッジを卒業したばかりの一人の青年がいた。ペストの流行によって、青年の通っていた大学も何度かの休講を繰り返した。休校中、大学を離れて故郷の街ウールソープに帰った青年は、ぼんやりと日を過ごすうちに微積分法と万有引力の基礎的な概念を発見した。青年の名前はアイザック・ニュートンといった。主要な業績の多くを発見したこの期間は、後に『創造的休暇』と呼ばれることになった。」(山本太郎『感染症と文明』岩波新書)

私自身には、この間、校正や原稿整理の仕事がいくつも持ち込まれていて、書斎に籠って手をつけたのですが、ちょっと考え直しました。そうか、ニュートン青年は、大学が休校になって「ぼんやりと日を過ごすうちに」、万有引力の原理を発見したのだ。与えられたこのような時間は、もう少し創造的なことに用いるべきではないだろうか。そのためにはすこし「ぼんやり」する必要があるようだ。それで、仕事の手を休めて、普段は読めないいくつかの本を取り出して、のんびり読むことにしました。そのいくつかは、そのうち「牧師の日記」で紹介したいと思います。皆さんもくれぐれも自重してお元気でいてください。すこし「ぼんやり」することも大切なようです。(戒能信生)

2020年4月5日日曜日


2020年4月12日 午前10時30分

復活節第1主日合同礼拝(No2

      司式 常盤 陽子

    奏  黙 想        奏楽 釜坂由理子

招  詞  93-1-35

讃 美 歌  16

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編94・1-23(着席のまま)

讃 美 歌  204

聖書朗読  出エジプト記14・15-18

      使徒言行録17・16-34

祈  祷

讃 美 歌  326

説  教  「死者の復活 アテネの町で」

     戒能 信生牧師

讃 美 歌  333

転入会式             田沼 大典

聖 餐 式  配餐・橋本茂、鈴木志津恵

讃 美 歌  81

使徒信条  (9341A

献  金              橋本 茂

報  告

頌  栄  92

派遣・祝福

後  奏 



【本日の集会】

・教会学校(合同礼拝に合流)

・愛餐会は中止にします。

・墓前礼拝も延期となります。

2020年4月4日土曜日


牧師の日記から(260)「最近読んだ本の紹介」

遠藤正敬『天皇と戸籍 日本を映す鏡』(筑摩書房)戸籍制度の歴史から天皇制を読み解いている。天皇家の人々には戸籍がない。その代わりに「皇統譜」なるものが作成されている。その皇統譜の歴史を繙くと、天皇家の暗部があぶり出されるのだ。そもそも戸籍制度と天皇制とは合わせ鏡のような関係なのだという。一方で、天皇家に戸籍がないということは、彼らに基本的人権が認められていないことを意味する。選挙権もなければ、結婚や離婚の自由もない。それは憲法の基本原則に背馳するのではないか。中野重治の『五勺の酒』の一文を思い出した。「・・・このことで僕は実に彼らに同情する。つまりあそこには家庭がない。家族もない。どこまで行っても政治的表現としてほか、それがないのだ。本当に気の毒だ。羞恥を失った者としてしか行動できぬこと、これが彼らの最大の悲しみだ。個人が絶対に個人としてあり得ぬ。どこに、俺は神でないと宣言せねばならぬほど蹂躙された個があっただろう。」

渡辺由佳里『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)ボストン在住の著者が、アメリカ社会のベストセラーを片っ端からレビュウしてくれる。例えばトランプ大統領の出現が象徴する現代アメリカの混迷を、ベストセラーから読み解いているのだ。それがなかなか穿っていて、これまで知らなかったアメリカ社会の片鱗を知ることができる。大統領選挙の趨勢、ヒラリーやオバマ夫人の自伝、多民族移民社会の現状、セクシャリティーやジェンダーをめぐる混沌、行き過ぎた競争社会と成功主義、恋愛や結婚の変容など、やがてこの国にも押し寄せる現実を予言するかのようだ。その多くが邦語に翻訳されて出版されているが、私はほとんど読んでいない。書評の仕方が、まるでこの国とは異なるのだ。

ウィリアム・アレグザンダー『仮面の街』(東京創文社)羊子お勧めのファンタジーで、ル・グィンも称賛しているという。奇妙なテイストの作品で、独特の世界観が語られる。機械仕掛けの身体をもつ魔法使い、ゴブリンたちによる謎の仮面劇一座、洪水への恐怖など、容易に現代社会への寓意性を許さない。しかしそれだけに、子どもたちは夢中で読むのだろう。

能町みね子『結婚の奴』(平凡社)著者は自らの性同一性障害を明らかにしている文筆家。最近では大相撲の解説者としてもよくテレビで見かける。たくさんのエッセー本を出していて、一度読んでみたいと考えていたら、羊子が買ってきてくれた。セクシャル・マイノリティーの現在を伺い知ることができる。

アントニオ・マンジーニ『汚れた雪』(創元推理文庫)北イタリアの小都市アオスタ警察の副警察長を主人公にするミステリー。各国の警察小説でその国の実情を読み取ることができるが、イタリアのミステリーは読んだことがない。本屋で見かけて目を通した。スキー場で発見された死体、その犯人捜しをめぐる主人公の活躍が語られるが、なんとマリファナの密輸を中抜きする副業をもっている。このあたりの破天荒さがイタリアン・ミステリーなのだろう。(戒能信生)