2016年2月27日土曜日

牧師の日記から(47「戦時下の信仰詩歌」
「平和を実現するキリスト者ネット」のニュースレター(月刊)に小さなコラム「戦時下の教会」を連載しています。3月号のために書いた原稿から、その一部を紹介してみましょう。(戒能信生)

戦時下のキリスト者たちは、短歌、漢詩、詩などの様々な仕方で、自分たちの心情を吐露しています。この類のものはこれまでほとんど顧みられませんでしたが、戦時下のキリスト教出版物には数多くの信仰詩歌が見られます。『日本基督教新報』だけでも相当な数に上りますが、戦争と信仰を主題とする短歌に絞って、紹介してみます。詠み手は、いずれも歌人として知られた牧師や信徒たちです。

「國を挙げて戦ふ中に世の光今新しく仰ぎ見るかも」
「御民われつつしみゆかむ貴かる神の御旨のみいくさの下」(「世の光」笹森壽子)

「英米は信仰をよそに戦へりわれら信仰に立ちて士気を呼びなん」
「ひたすらに霊身を潔めささげてぞ神はしも聞け祈る祈りを」(斎藤庫三)

「統理者に謂を賜ひし聖旨の畏しこさに泣きて我等は起てり」
「國今し決戦の期(とき)ぞみたみわれら生命ゆかけて持場励まん」(安藤信太)

「礼拝のこころとりわきて清しかも戦意みなぎる辰(あした)の雪に」
「聖き日の今日降る雪に身内みなしまるをおぼゆ礼拝(をろがみ)了へて」
「大き戦かひ我の内外にありにけりいよよ十字架仰がざらめや」(白石壽村)

「アジヤなる国々を虐げし不義打懲らす神の鞭はも」
「神の恩恵国の恩恵を思ほへばただ有難し怠る勿れ」(「神の鞭」安藤信太)

「岩戸がくり光は暗し教會の岩戸をひらく手力もがも」
「霊の光くすぶり煙る神風よ天より吹きて燃え立たせてよ」(秋月 致)

「大御戦きびしき秋ぞ南冥へ遣はさる身の任務や重し」
「神われと共に在せば千萬の敵を恐れじいざ進み往かむ」
「八潮路の波乗り越へて赤道の眞下に我は主を証しせむ」(本田清一)

「キリストに誠つくすは天皇に仕ふる道と泣きて語るも」

「日の御旗掲ぐるこの手この心大みことのりかしこみてあり」(中森幾之進)

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