2016年10月22日土曜日

牧師の日記から(80
1016日(日)主日礼拝。エフェソ書619の講解説教「神は分け隔てしない」。新約聖書の書簡に見られる倫理的勧告の中には時代的制約を考慮せざるを得ない箇所がある。この箇所の「妻と夫」「子と親」「奴隷と主人」についての勧めもその一つだろう。しかしそこに見られる向かい合わされた存在としての相互性の倫理は、やはり新約聖書の特徴と言える。当時のローマ世界の一般的な家庭訓には、例えば奴隷の取り扱いについての教えはあっても、奴隷の側の倫理はなかったという。ペットの飼い方の本に、飼い主の心構えはあっても、犬や猫など飼われる側の倫理がないのと同じである。その意味でこの相互性の倫理は今日においても充分な射程を持つのではないか。この日の礼拝に『時の徴』の購読者のお二人が出席され、礼拝後それぞれの教会生活での葛藤を聞かされる。励ましてさらに牧師を支えるようにアドバイスする。
17日(月)午前中、直子さんと二人で番町教会に行き、先週のバザーの売れ残りの中から千代田教会のバザーに頂くものを選ぶ。その後、横野朝彦牧師と昼食を共にする。帰宅後、準備をして夕方から日本聖書神学校の授業。この日は救世軍の山室軍平を取り上げる。この夜は、先週から読んでいるSF小説を読んでいるうちに、目が冴えて眠れなくなり久しぶりに徹夜してしまった。
18日(火)午前中、神学読書会。8名の参加(内、信徒2名)。今回で宮田光雄先生の『カール・バルト』を読了し、次回からなんと北森嘉蔵先生の『神の痛みの神学』を取り上げることになった。今話題になっている書物よりも、やはり古典的な著作を読み直してみようということになったのだ。現在の時点で北森神学を批判的に読み直すと何が見えてくるか今から楽しみである。北支区の諸教会に神学読書会の予定と案内の葉書を送る。
19日(水)午前中、聖書を学ぶ会。出エジプト記7章以下の10の禍の記事を取り上げる。膝関節の手術をされた大坪正雄さんも秀子夫人と一緒に久しぶりに参加された。午後は、11月に予定されている柏木義円研究会の案内作成と、研究会員の名簿作りなどの作業。研究会のスタンプ作成も依頼する。夜、頌栄女子短期大学の森田喜基牧師が大阪から訪ねて来てくれる。教団宣教研究所で資料整理の仕事を手伝ってもらったことがある。森田君が最近書いた戦時下の教団の戦闘機献納運動についての論文の感想や今後の研究について話し合う。

1021日(金)午前中、キリスト教会館の管理組合委員会。会館の耐震改修工事後、半年が経過した。会館内に残っていた空室も、いくつかの新しいテナントの入居が決まり、来年1月からはほぼフル稼働に復することになる。NCAのプログラムで、ボイストレーニング講座の受講生を対象に、継続プログラムを実施する相談を講師の友野富美子さんとする。夜は富坂キリスト教センターで池明観先生の講演会に出席する。90歳を越えてなお矍鑠とした池先生に励ましを受ける。来春発行する戦争責任告白50年の論文集に寄稿をお願いする。(戒能信生)

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