2017年6月4日日曜日

牧師の日記から(112
 528日(日)主日礼拝。毎月最後の主日は旧約聖書を学ぶことにしている。創世記を読み終わり、この日から出エジプト記に入る。12210から「モーセの誕生」を取り上げる。創世記の族長たちとは全く異なる指導者モーセ像については、様々な研究や仮説が提唱されている。最近の聖書学者たちは、特定のモデルはなく、度重なる脱出劇のリーダーたちの集合的な人格としてモーセ像が形成されたと想定しているようだ。特異な一神教による宗教改革を断行したエジプトのファラオ・イクナートンとの関連を大胆に推理したフロイトの「モーセと一神教」を紹介する。しかしこのモーセ誕生説話が、助産婦やその母、姉など女性たちの物語として構成されていることの意味を考えさせられた。
 29日(月)3月に行われた神学生交流プログラムの報告書があがって来たので、その校正作業。並行して、井上良雄先生の『キリスト教講話集』Ⅲの校正も。夜は、日本聖書神学校の授業。植村正久についての受講生のリーディング・レポート。きわめて優れた発表があり、こちらが啓発された。図書室で、来週のペンテコステ礼拝でCSが行うイベントのために、様々な言語の聖書を検索。フランス語訳はあったが、ロシア語やポルトガル語聖書がここには収蔵されていない。
 30日(火)飯田橋の富士見町教会での東京教区総会に出席。昼休み、橋本茂さんに神楽坂のイタリヤ料理屋でランチをごちそうになる。夕方帰宅して、校正作業の続き。それから来週行われる農村伝道神学校の戦争責任シンポの講演の準備。午前と午後、二つの講演をしなければならないので、その準備に追われる。直子さんが銀座の聖書図書館でペンテコステの箇所のコピーをしてきてくれる。
 31日(水)午前中、聖書を学ぶ会。32章の「金の子牛」を取り上げる。モーセの不在にパニックになった民は、アロンに代わりの徴を要求する。列王記上12章に伝えられている北王国イスラエルの王ヤロベアムがエルサレム神殿に代わる金の子牛を造ったという出来事が歴史を遡って投影されているとされる。しかし目で見ることができ、手で触って確認できる具体的な徴を求める人々の想いは、何時の時代も変わらないのだと改めて考えさせられた。下関の三輪従道先生から、創立記念礼拝の説教の原稿が届き、入力作業。明日の永松貢さんの納骨式の準備。
 61日(木)11時から小平霊園で故・永松貢さんの納骨式。午後帰宅して、農村伝道神学校での講演の準備。昭和14年から15年にかけて、救世軍や宣教師スパイ事件についての各新聞の報道を調べ直す。文部省の直接的な圧力と平行して、マスコミによるバッシングが、教団設立を促した事情が浮かび上がってくる。
 62日(金)昼前にキリスト教会館に行き、NCAの発送作業の準備。3時から運営委員会。夜は、そのまま東京信愛教会での北支区連合祈祷会に出席。

 63日(土)午後、新教出版社の小林望社長が来訪し、『キリスト教講話集』Ⅲの初校と短い解説を渡す。表紙の写真撮影も。(戒能信生)

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