2020年4月12日日曜日


牧師の日記から(261)「教会員の皆さんへ」

新型コロナ・ウィルスの感染拡大で、皆さんもそれぞれ逼塞を余儀なくされていると思います。45日の長老会で、千代田教会としての当面の姿勢について話し合いました。主日礼拝はいつものように継続するが、それ以外の集会は、教会学校も含めてしばらく原則として休止にすることになりました。

その後、緊急事態宣言が出て、外出そのものの規制が呼びかけられています。日本基督教団の諸教会でも、礼拝を中止にして、ネット配信に切り替えるところもあります。千代田教会では、牧師家族とご近所の教会員数名だけでも、何とか主日礼拝だけは継続したいと考えています。しかし教会員の皆さんは健康状態や交通機関のことも考慮して、決して無理をされないようにお願いします。礼拝に出席できない皆さんも、日曜日の午前10時半から千代田教会の主日礼拝が行われ、祈りがささげられていることをお覚えください。

教会関係の集会も休止になり、私の関係する研究会や勉強会などの予定もほとんどすべてキャンセルになっています。こうして生れた時間的余裕をどう使うべきか考えていたところ、感染症の歴史を取り上げた書物に、次のようなエピソードを発見しました。「17世紀の半ば、ロンドンでペストが流行し、約10万人の死者を出した(これがヨーロッパで最後のペストの流行だった)。この時期、ケンブリッジのトリニティ・カレッジを卒業したばかりの一人の青年がいた。ペストの流行によって、青年の通っていた大学も何度かの休講を繰り返した。休校中、大学を離れて故郷の街ウールソープに帰った青年は、ぼんやりと日を過ごすうちに微積分法と万有引力の基礎的な概念を発見した。青年の名前はアイザック・ニュートンといった。主要な業績の多くを発見したこの期間は、後に『創造的休暇』と呼ばれることになった。」(山本太郎『感染症と文明』岩波新書)

私自身には、この間、校正や原稿整理の仕事がいくつも持ち込まれていて、書斎に籠って手をつけたのですが、ちょっと考え直しました。そうか、ニュートン青年は、大学が休校になって「ぼんやりと日を過ごすうちに」、万有引力の原理を発見したのだ。与えられたこのような時間は、もう少し創造的なことに用いるべきではないだろうか。そのためにはすこし「ぼんやり」する必要があるようだ。それで、仕事の手を休めて、普段は読めないいくつかの本を取り出して、のんびり読むことにしました。そのいくつかは、そのうち「牧師の日記」で紹介したいと思います。皆さんもくれぐれも自重してお元気でいてください。すこし「ぼんやり」することも大切なようです。(戒能信生)

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