2016年12月9日金曜日

 牧師の日記から(87
124日(日)待降節第2主日礼拝。Ⅰテサロニケ書21-8の講解説教。8節にパウロがテサロニケの信徒たちを「いとおしく思っている」という表現が出て来る。このギリシア語homeiromaiは、新約聖書全体でこの箇所だけに用いられている稀少な言葉。そもそもこの手紙は現存するパウロの手紙の中で最も初期のもので、後の手紙のような神学的な展開がなされているわけではない。それだけにパウロの率直な心情が込められていのではないだろうか。礼拝後、定例長老会でクリスマスなどの準備について相談する。長老会の後、条谷泉さんと土沢教会の上野玲奈牧師が訪ねてくれる。教会員の結婚式のために上京された由。『時の徴』の次号から聖書随想の連載を依頼したので、その打ち合わせの相談でもある。地方の教会で苦闘している牧師の悩みの一つは、勉強する機会に恵まれないこと。激励して何冊かの書籍を進呈する。夜は羊子の誕生日ということで家族が集まる。
5日(月)授業で北森嘉蔵先生を取り上げるので、この間『神の痛みの神学』や『神学的自伝』を読み直している。不思議なことに、そこに北森先生の父上のことが一切登場しない。丸山久美子の『北森嘉蔵伝』にも父親のことには全く触れられていない。どんな事情があるのか分らないが、これは北森神学の「父性の不在」という問題と関係するかもしれない。夜は日本聖書神学校の授業。古い友人でもある神戸学生センターの飛田雄一さんから『現場を歩く現場を綴る』『心に刻み石に刻む』の2冊の本が送られてくる。早速目を通して礼状をメールで送る。
6日(火)午前中からキリスト教会館に出かけて、NCAの発送作業の準備。午後運営委員会。この仕事もそろそろ次の人に引き継がねばならないのだが、後任を探すのが容易ではない。夜は、友野富美子さんのボイストレーニングに参加。
7日(水)午前中、聖書を学ぶ会。出エジプト記14章を取り上げる。旧約聖書最大の奇跡と言われる海の奇跡の場所とされるバアル・ツェホンが現在のどこであるのか、研究者の間で議論があるようだ。ただ砂州に轍を取られたエジプト軍の最新鋭の戦車から逃亡の民が逃げ延びたことは確かなようだ。この経験が、民族の共同の記憶として長く伝えられ、イスラエルの原体験となったと言える。
8日(木)この日は一日在宅。いろいろ溜まっている雑用を処理する。この夏の同志社神学協議会での講演を短くまとめる原稿を思い出して慌てる。これが意外に厄介。二つの講演を6000字に要約しなければならないのだが……。
9日(金)午前中、西早稲田のキリスト教会館で会館管理組合委員会。午後、近くの郵便局へ。『時の徴』の印刷費を振り込もうしたら、制度が変わって運転免許証などで本人確認ができないと10万円以上は振り込めないという。振り込め詐欺や違法な資金洗浄対策のためとのこと。一方でマネーロンダリングを可能にするカジノ法案を通しておいて、いかにもチグハグだと思うが、致しかなたない。

10日(土)土曜日は週報の作成や説教の準備。午後、会館7階の改修工事の完成引き渡しに立ち会う。クリスマスが近づき慌ただしくなって来た。(戒能信生)

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