2018年3月2日金曜日


牧師の日記から(151

225日(日)主日礼拝。十戒の講解説教の三回目「みだりに神の名を呼んではならない」。神の名の乱用や誤用を戒めるこの規定は、信仰深くあろうとする人間の罪への指摘として読むことが出来る。最近知ったマザー・テレサの”Come Be My Light”という書簡集のことを考えさせられた。この本は、テレサの列聖調査の過程で発見されたもので、彼女が自分の霊的指導司祭に宛てた手紙が収録されている。その中には、言わばテレサの心の闇が克明に記されている。激しい奉仕活動や周囲からの評価と称賛の中で、彼女がどんなに孤独に神の不在と自らの不信仰と闘ったかの魂の記録でもある。一見躓きを与えかねないその激しい葛藤に、そして自らの不信仰に耐えつつ神と人とに仕え尽くしたその姿勢に深い感動を覚えた。まことに「神の名をみだりの唱えてはならない」のだ。

26日(月)朝早くの新幹線で京都へ。クリスチャン・アカデミーの次年度の事業計画を審議する理事会に出席のため。往復の新幹線の中で明日の講演の準備。

27日(火)午後から日本基督教団社会委員会で講演。「天皇の代替わりと大嘗祭」について、明治以降のキリスト教史からその問題点について取り上げた。神権天皇制に対して内村鑑三や植村正久、柏木義円、矢内原忠雄等がどう対峙したかを検証しながら、人が神となる「大嘗祭」の神道儀式の意味を考えさせられた。

28日(水)午前中、聖書を学ぶ会でヨシュア記24章の「シケム契約」を取り上げる。モーセの後継者ヨシュアは、自らの死を前にしてアブラハム以来の民の歩みを振り返って歴史を総括している。NCAの機関誌『はなしあい』の原稿を書いて送る。日本クリスチャン・アカデミーの発足は、1962年、神奈川県二宮に設立された大磯アカデミーハウスが出発だった。その後この施設はプリンスホテルに譲渡したが、その資金で現在のキリスト教会館の権利を取得している。その土地を譲渡してくれたドイツ人法律家カール・フォークト氏について調べている。彼が書いた”Lebenschronik“を入手して拾い読みしたのだが、古いドイツ語で読みにくいことこの上ない。明治30年に来日して日独間の法律事務を担った弁護士でもあった。海軍の収賄事件に発展して山本権兵衛内閣が総辞職したあのシーメンス事件のドイツ側の弁護士でもあったという。午後、キリスト教会館の事務所に行き、事務仕事や発送作業。

31日(木)春の嵐の中を上越新幹線で軽井沢へ。興望館沓掛学荘の職員礼拝で奨励。午後、佐久平の老人施設に保志治子さんを見舞う。思ったよりお元気だが、神経性リュウマチの痛みがつらいとのこと。マタイ福音書5章から奨励して祈る。夕方帰宅して、来年度の農村伝道神学校の日本キリスト教史のシラバスを作成して送る。来週の定例長老会のアジェンダ作りも。

2日(金)来週の神学生交流プログラムのレジュメや文具などを鎌倉黙想の家に宅急便で送る。夜は巣鴨ときわ教会での教育委員会シンポジウムに出席。今週はちょっと忙しすぎたようで、なかなか疲れたとれない感じ。(戒能信生)

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