2015年12月3日木曜日

牧師の日記から㉟「牧師の勉強会のこと(続き)」
先週に引き続き、私が参加している勉強会の紹介です。
「説教読書会」月に一度、門前仲町の雨宮栄一牧師(東駒形教会の私の前任牧師)宅で、説教の読書会があります。牧師は、人の説教を聞く機会がほとんどありませんから、説教を丹念に読むよい機会です。この間、私が編集した井上良雄先生の説教集(『大いなる招待』『エデンからゴルゴタまで』新教新書)を一篇ずつ読んでいたのですが、それを読み終わり、10月から新たにボンヘッファーの説教集を取り上げています。参加者が順番に輪読して、疑問点や感想を話し合います。残されている説教を通して、ボンヘッファーの神学的な歩みを跡付けることが出来ます。参加者は、雨宮先生の親しい信徒や牧師たちが78人です。
「山口里子ゼミ」これは私が責任を負っている日本クリスチャン・アカデミーの聖書講座です。フェミニズム新約聖書学者として知られる山口里子さんの著書『イエスの譬え話Ⅰ』を1章ずつ取り上げて学んでいます。毎月第二火曜日の夜、早稲田教会を会場に行われます。里子さんの聖書解釈は、これまでの聖書理解の常識や通念をひっくり返し、きわめてスリリングで刺激的です。男性の弟子たちによって書かれた福音書を、女性の視点から読み直してみると、そこに思いもかけないメッセージを読み取ることができるからです。毎回1000円の参加費が必要ですが(講師の里子さんへの謝礼と会場費のため)、毎回20名ほどの参加者があります。
「柏木義円研究会」明治から大正、そして昭和前期にかけて、群馬県の安中教会牧師であった柏木義円が、今注目されています。生涯田舎牧師であった義円が、『上毛教会月報』を発行して、廃娼運動や足尾鉱毒事件に関わり、日露戦争に反対して「非戦の思想」を主張し、組合教会の朝鮮伝道を痛烈に批判しています。その義円の日記や書簡を翻刻した片野真佐子さん(大阪商大教員)は、私の古くからの研究仲間で、義円を改めて読み直そうということで、この研究会が始まりました。資金的な裏付けがないので、当面は千代田教会の集会室を会場に、年二回くらいのペースで進めようと考えています。第1回は、1226日(土)の午後です。
こんな具合に、様々な研究会や読書会を続けています。それは、私が勉強好きだったり、勤勉であるからではありません。全く逆です。独りでは勉強できないし、つい怠けてしまうので、このような研究会や読書会に参加して、何とかみんなの力を借りて勉強を続けて来たと言えます。教会員の皆さんも関心があれば、そして時間的余裕があれば、是非参加してみてください。

(戒能信生)

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