2018年10月13日土曜日


牧師の日記から(183

107日(日)主日礼拝。Ⅱペトロ書2章前半を取り上げる講解説教。厄介な箇所だが、2世紀半ばの教会で旧約聖書がどのように読まれていたかを知ることが出来る。ノアの洪水や、ソドムの町の破滅とロトの救出の物語が、神の裁きと救済の強調として読まれていたようだ。つまりローマ帝国の支配下において、それとは異なる価値観に生きよと勧めていることになる。この信仰理解との関連で、ハワワースの”Resident Aliens”を紹介した。つまりこの世の支配的価値観に流されない信仰理解を初代教会に学ぶことが出来るのではないか。礼拝後、定例長老会で新宿伝道所との合流について話し合った。1118日の礼拝後、教会懇談会を開いて、その経過報告をすることとなった。先々週のこの欄に体調の悪さについて書いたところ、関田寛雄先生から見舞いと自重するようにという懇切なお便りをいただいて恐縮する。一緒に送られてきた関田先生の留学記を一気に読んで、様々なことを教えられ感銘を受けた。9月の初めに鹿児島の沈壽官窯を訪ねたことをこの欄で紹介したが、それを知った条谷泉さんから司馬遼太郎の『故郷忘じ難く候』を貸して頂いて読む。久しぶりに司馬節を堪能した。

8日(月)休日で、一日書斎に籠もって由木康の著作や関係資料に当たり、その生涯と信仰理解についてのレジュメを作成する。由木康作詞の讃美歌が有名だが、それ以上に訳詞が『讃美歌』に収録されているだけでも70篇もある。日本の教会がいかにこの人の信仰理解に大きな影響を受けているかを思わされる。

9日(火)午前中神学読書会で、森本あんりさんの『異端の時代』(岩波新書)を江口公一牧師の紹介で取り上げる。出席は牧師6名、信徒2名の計8名。夜は早稲田教会での山口里子さんのゼミに参加。仙台の宮田光男先生から恵贈された『ルターはヒトラーの先駆者だったか 宗教改革論集』を読み上げ、ようやくお礼状を書いて送る。特にこの書物で取り上げられている宗教改革期のブリューゲルやデューラー、リーメンシュナイダーなどの絵画史について多くのことを学ぶ。

10日(水)午前中、聖書を学ぶ会でサムエル記上1314章を取り上げ、サウルの王権確立の経緯を辿る。サムエル記では、サウル死後のダビデの王位継承に重点が置かれ、サウルの事績についての記述が大幅に圧縮されている。ヨセフスはサウルの王位は約40年続いたとしているが、ほぼ妥当な見方だろう。

11日(木)NCAの連続講座「日本キリスト教史を読む」の今期5回目で、賀川豊彦を取り上げる。思いもかけず、さがみ愛育会の松岡俊彦さんが聞きに来てくれ、来年の愛育会創立70年の会で、記念講演を依頼されてしまった。またNHKの「宗教の時間」のプロデューサーだった鈴木健次さんも参加され、この講座のエッセンスをラジオ放送で取り上げられないかと提案してくれた。

12日(金)農村伝道神学校の後期の授業が始まる。町田の山奥までほぼ2時間近くかけて出かける。いい運動にはなる。午後遅く帰宅。10月半ばに予定されている内面史研究会の共同討議の進行表を作成する。(戒能信生)

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