2019年9月28日土曜日


牧師の日記から(233

922日(日)主日礼拝。使徒言行録91-19の講解説教「サウロの回心」。著者ルカが劇的に描く「ダマスコ途上の回心」の実相はどんなものだったのか。サウロは一時的に失明するので、視覚的情報が全く含まれていない。つまりサウロという人の内面に起こった回心だった。「回心」はもともとは仏教用語で「えしん」と読ませる。Conversionの訳語に充てられたのだが、それは、自らの悟りとか改心ではなく、キリスト者を迫害する者からイエスの福音の使者へと180度変えられたことを指している。古い友人の松井恵子さんが礼拝に出席してくれた。大阪在住の翻訳者で、午後昼食を共にして4時ごろまでゆっくり話し込む。

23日(月)休日で、一日書斎に籠り切りで、北支区の学習会の講演の準備。驚いたことに、定評ある日本キリスト教史の教科書に、ホーリネス弾圧についての言及が全く無いのだ。『時の徴』の校正が届き、その直し作業も。

24日(火)午前中、西片町教会で北支区教師部の研修会。若手の神学者福島揚さんの意欲的な講演「エコロジーとキリスト教」を聞く。Boff & Hathawayの問い「地球生態系の危機こそ、私たちの時代の最も重要な宗教的・霊的課題ではないか。基本的な問題はもはや、特定の宗教的伝統の未来の問題ではない。どれほど多くの宗教が未だに、自らのメンバーの拡大に固執していることか。生命そのもののリバイバルではなく、自らの組織的生き残りに専念していることか」。この厳しい問いかけについて考えさせられる。夜は北支区連合祈祷委員会。

25日(水)午前中、聖書を学び祈る会。列王記上2-3章を取り上げる。ソロモンが王位に就き、ヘブロン派を粛正してエルサレム派の側近による統治を始める。地方神殿を廃して祭司たちを一元的に支配し、エルサレム神殿を建立して国家祭儀化を進める。その繁栄を描きながら、列王記はその行く先を見通している。午後から早稲田奉仕園でのNCAの聖書講座に出席して挨拶する。この春隠退された上林順一郎先生を迎えての第一回。「善きサマリヤ人」を取り上げたが、いくつものことを教えられる。強盗に襲われた人が、親ローマ派の有力者だった可能性を示唆され、この譬え話の政治的な背景について考えさせられた。

26日(木)午前中、東京医科歯科大学の定期健診。検査と診察だけに午前中一杯かかる。疲れてしまってNCAの事務所へ行くのはサボり、10月の予定表の作成と、信濃町教会修養会の講演の準備。夕方、直子さんと一緒に無花果の実の収穫。

27日(金)休日で、書斎で一日中仕事。翌日の講演の準備とレジュメの印刷。夕方、訪ねてきた人の話を聞き、カップ麺やあり合わせの食材を持たせる。

28日(土)午前中、本所賀川記念館創立50年の記念礼拝に出席。懐かしい教会員たちと久しぶりに顔を合わせる。祝賀会は冒頭15分だけで抜けだし、タクシーで弓町本郷教会へ。北支区主催「キリスト教から考える天皇制」学習会で講演。夕方帰宅すると、ラグビーのアイルランド戦を実況しており、なんと日本が勝ってしまった。後は週報の印刷や礼拝の準備。(戒能信生)

0 件のコメント:

コメントを投稿