2023年9月17日日曜日

 

牧師の日記から(435

910日(日)主日礼拝。ルカ福音書204144「ダビデの子がメシアではない」というイエスの言葉を取り上げる。この箇所は共観福音書の受難伝承にいずれも取り上げられているが、その解釈は一定していない。そこに民族宗教を乗り越える可能性を考えさせられた。例えば預言者エゼキエルは、捕囚の痛苦な体験の中で、偉大な信仰者の子どもであっても、それで救われることはないと断言(14章)して、いわば民族宗教を乗り越える信仰の可能性を切り拓いている。受難伝承の中に伝えられたイエスのこの言葉は、それを受け継ぐものではないか。礼拝後、田沼大典さんの「私の愛唱讃美歌」の紹介。荒井眞さんが、音響設備を調整してくれたので、ライブ配信もスムースに行なわれたようだ。

11日(月)午後、青地恵さんが来てくれて、『時の徴』に連載している『高倉徹総幹事日記』の翻刻と校正について打ち合わせ。将来これをまとめて出版する可能性を考えている。夕方から久しぶりに日本聖書神学校へ。後期の「日本キリスト教史」の授業が始まるが、今年がこの神学校での最後の講義になると思うと感慨深い。今期の受講生は11名。

12日(火)午後から富坂キリスト教センターに行き、同胞教会史研究会に参加。この研究会は一年延長して、『同胞教会史・資料集』として共同研究の報告書をまとめなければならない。資料や年表、統計に加えて、30余の関係教会の紹介を掲載することになる。原宿教会の木村拓己牧師に、そのサンプルを作成してくれるように依頼する。原誠先生と、3月の神学生交流プログラムの打ち合わせと、来年度NCAの連続講座で「日本キリスト教史」を取り上げてくれるように依頼。また研究員の藤田さんに、柏木義円日記の書誌的問題について調べてもらうように頼む。夕方急いで帰宅し、山口里子さんのマルコ講座に遅れてZoomで参加。

13日(水)この日は一日書斎に籠もって雑用を片づける。韓国の呉宇美さんという方から手紙で、新教出版社を紹介してくれという依頼が届く。深川教会時代のメンバーの娘さんらしい。メールで返事を書き、出版社を紹介するが、今困難の中にある出版は難しいだろう。夕方、直子さんと二人でイチジクの収穫。この日は30個ほど採れた。桑の実のジャムと合わせてバザーで販売することになる。

14日(木)午後から、NCA連続講座で「北森嘉蔵とその時代」についてZoomで講演。『神の痛みの神学』で知られるこの神学者の生涯を追うと、この国のキリスト教会の様々な課題が凝縮していることを考えさせられる。2時間話し続けるとさすがに疲れる。

16日(土)午前中、聖書と人間を考える会。インドネシアから西村正寛さんもZoomで参加。仏教学者の水谷香奈さんの発題「仏教における異文化対応」。特にマインドフルネスの流れが、ベトナム人僧侶ティク・ナット・ハンに始まるという経緯を知って興味深かった。(戒能信生)

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