2023年9月30日土曜日

 

牧師の日記から(437

924日(日)主日礼拝。西川穂神学生の説教担当。コロサイ書310-17を取り上げて「造り主の姿に倣う」という説教。この間いろいろな教会に招かれて説教奉仕を重ねてきたこともあってか、ハキハキした口調で、分かりやすく聖書の御言葉を説き明かされた。西川さんは来年3月で日本聖書神学校を卒業し、牧師として歩み出す。これから、卒業論文や補教師検定試験など難関がいくつもあるが、伝道者としての道が開かれることを祈っている。礼拝後、入門の会で「使徒信条」の最終回。最後の「我は体のよみがえり、永遠の命を信ず」という項について短く話す。これで1年半かかって使徒信条の講解が終った。改めてバルトの『教義学要綱』や『ジュネーブ信仰問答講解』などを読み直し、私自身の勉強になった。その後、週報発送作業。フルート・アンサンブルらふぁえるの練習と続く。夜は、私の誕生日ということで、家族が集まって久しぶりに一緒に食事。息子たちにPCの不調を調整してもらった。

25日(月)午前中、本所緑星教会での月曜会に参加。この日はトーマス・レーマーの話題の書『ヤバい神』を幕張教会の早乙女哲自牧師が紹介してくれた。午後帰宅して準備をして、夜は日本聖書神学校の授業。この日はホーリネスの中田重治について取り上げる。帰宅後、11月の柏木義円公開講演会の講演者や応答者に確認のメールを送る。

26日(火)午前中は賛育会病院の内科の定期検診。このところ暑さのために散歩を控えていたので、検査結果がどう出るか案じていたが、血圧やHgA1cの値も落ち着いているとのことで一安心。二ヶ月分の薬を処方されたが、医療保険が国保扱いで3割負担になり、医療費や薬代が3倍に増加する。夜は、戦争を許さないキリスト者の会の公開講座にZoomで参加。入国管理法の改定について渡邊さゆりさんの丁寧な解説を聞く。要するに新入管法には外国からの移民を基本的に認めないこの国の姿勢が如実に現れているとのこと。ちょうどユヴァル・ノア・ハラリの『21Lessons』を読んでいて、移民問題についての賛否両者の主張を読んだところだったので考えさせられた。

27日(水)午前中、キリスト教会館管理組合の委員会が行なわれるはずだったが、委員の都合がつかず延期になる。午後、直子さんとイチジクを30個ほど収穫。毎晩のようにやって来るハクビシンとの競争。直子さんはミニバザーのためにイチジク・ジャムを大量に作っている。

28日(木)午前中、義円講演会の案内を印刷し、賛助会員に発送。この日はNCAの事務所行きは止めて、自宅で仕事を続ける。

29日(金)支区宣教研究委員会で支区報『北斗星』のバックナンバーを読み合わせているが、その発題の準備。夜はエパタ教会で委員会。ラグビー世界大会で日本チームがサモアを破りベスト8進出の可能性が出て来た。ラグビー中継の観戦がほとんど唯一の私の趣味。(戒能信生)

2023年9月24日日曜日

 

2023年10月1日 午前10時30分

聖霊降臨節第19主日礼拝(No24

             司式 石井 寛治

前  奏  黙想     奏楽 釜坂由理子

招  詞  93-1-

讃 美 歌  5

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編101・1-8

讃 美 歌  220

聖書朗読  アモス書5・21-27

ルカ福音書21・5-6、20-24

祈  祷

讃 美 歌  531

説  教  「神殿崩壊の予告」

戒能信生牧師

讃 美 歌  560

使徒信条  (9341A

献  金  対外献金「北支区ワンドロップ献金のために」       田沼大典

報  告

頌  栄  28

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(9:30) お話し・戒能牧師、奏楽・戒能直子)

・礼拝後、「ライブ配信入門」荒井眞

・ライブ配信担当・荒井眞

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

 

牧師の日記から(436

鈴村裕輔『政治家 石橋湛山』(中公選書)戦前、「東洋経済新報」に盤踞して「小日本主義」を唱え、植民地の返上を主張した反骨のジャーナリスト石橋湛山のことはよく知られている。湛山は、その激越な主張にもかかわらず、戦時下において一度も逮捕されず、それどころか敗戦時まで大蔵省などの政府委員を務めている。激突型ではなく、粘り強い抵抗の実践者だったとされる。しかし本書は、戦後政界に活動の場を移して以降の石橋の活動を取り上げる。GHQによる公職追放に遭いながら、吉田茂内閣の大蔵大臣を務め、鳩山一郎隠退後、激烈な多数派工作によって岸信介を破って自由民主党第二代党首となり、ついに総理大臣に就任したものの、病気のため短期間(65日)で退任した悲劇の政治家の実像を追っている。従来の研究では、戦前の自由主義者湛山に比重を置くのが圧倒的に多い中で、本書は戦後の現実的な政治家湛山の実像を通して、戦前との連続性を重視している。かつての自由民主党は、この石橋湛山を党首として選ぶ度量があったのだが・・・。

カズオ・イシグロ『日の名残り』(ハヤカワ文庫)ノーベル文学賞を受賞した著者の代表作とされる小説で、生涯をイギリス人貴族に仕えた執事の回想の形式で書かれている。戦間期、親ドイツの立場で外交努力を続ける主人を、主人公の執事は支え続ける。執事職として、私心を押さえてひたすら主人に仕えたが、戦後主人は失意の中で亡くなってしまう。その後、館を受け継いだアメリカ人実業家の好意で、休暇をもらって旅をする中で、主人公の執事は自分の生涯を振り返る。執事の品格に拘るあまり、自分を押し殺し、慕う女中頭の心情も顧みなかった生涯が悔恨を交えつつ淡々と語られる。こういう仕方で、イギリスの貴族社会の没落が描かれるのだが、巧みな構成と文体に感嘆しながら読了した。そして改めて日本の国のこれからのことを考えさせられた。政治家を初め多くの人が、高度経済成長期のこの国の再興を夢見ているようだが、そろそろダウンサイジングしていくこの国の在り方を考えるべきではないだろうか。世界の海を制覇したオランダが、そしてイギリスが、産業革命を経てやがて経済的に凋落し、その文化的遺産を保ちながらその後の在り方を模索する姿勢から学ぶ必要があるのではないだろうか。

マイケル・コナリー『正義の孤 上下』(講談社文庫)ロサンゼルス市警の刑事ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズの最終刊?市警をリタイアしたボッシュが、未解決事件捜査班にボランティアとして招かれるところから始まる。そして二つの難事件を解決した後、主人公の癌が再発して余命幾ばくもないことが暗示されて終る。このシリーズが始まったのが1992年で、つまり私はおよそ30年間このシリーズを読み続けてきたことになる。同世代の作家が次々に亡くなっていく中で、このシリーズが続いていることを楽しみにしてきたのだが…。(戒能信生)

2023年9月17日日曜日

 

2023年9月24日 午前10時30分

聖霊降臨節第18主日礼拝(No23

             司式 野口 倢司

前  奏  黙想     奏楽 内山 央絵

招  詞  93-1-50

讃 美 歌  6

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編100・1-5

讃 美 歌  226

聖書朗読  詩編66・19-20

コロサイ書3・10-17

祈  祷

讃 美 歌  1

説  教  「造り主の姿に倣う」

西川穂神学生

讃 美 歌  487

使徒信条  (9341A

献  金             高岸 泰子

報  告

頌  栄  87

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(休校)

・礼拝後、入門の会「使徒信条⑩」戒能牧師

・ライブ配信担当・荒井眞

・週報等発送作業(ご協力ください)

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

 

牧師の日記から(435

910日(日)主日礼拝。ルカ福音書204144「ダビデの子がメシアではない」というイエスの言葉を取り上げる。この箇所は共観福音書の受難伝承にいずれも取り上げられているが、その解釈は一定していない。そこに民族宗教を乗り越える可能性を考えさせられた。例えば預言者エゼキエルは、捕囚の痛苦な体験の中で、偉大な信仰者の子どもであっても、それで救われることはないと断言(14章)して、いわば民族宗教を乗り越える信仰の可能性を切り拓いている。受難伝承の中に伝えられたイエスのこの言葉は、それを受け継ぐものではないか。礼拝後、田沼大典さんの「私の愛唱讃美歌」の紹介。荒井眞さんが、音響設備を調整してくれたので、ライブ配信もスムースに行なわれたようだ。

11日(月)午後、青地恵さんが来てくれて、『時の徴』に連載している『高倉徹総幹事日記』の翻刻と校正について打ち合わせ。将来これをまとめて出版する可能性を考えている。夕方から久しぶりに日本聖書神学校へ。後期の「日本キリスト教史」の授業が始まるが、今年がこの神学校での最後の講義になると思うと感慨深い。今期の受講生は11名。

12日(火)午後から富坂キリスト教センターに行き、同胞教会史研究会に参加。この研究会は一年延長して、『同胞教会史・資料集』として共同研究の報告書をまとめなければならない。資料や年表、統計に加えて、30余の関係教会の紹介を掲載することになる。原宿教会の木村拓己牧師に、そのサンプルを作成してくれるように依頼する。原誠先生と、3月の神学生交流プログラムの打ち合わせと、来年度NCAの連続講座で「日本キリスト教史」を取り上げてくれるように依頼。また研究員の藤田さんに、柏木義円日記の書誌的問題について調べてもらうように頼む。夕方急いで帰宅し、山口里子さんのマルコ講座に遅れてZoomで参加。

13日(水)この日は一日書斎に籠もって雑用を片づける。韓国の呉宇美さんという方から手紙で、新教出版社を紹介してくれという依頼が届く。深川教会時代のメンバーの娘さんらしい。メールで返事を書き、出版社を紹介するが、今困難の中にある出版は難しいだろう。夕方、直子さんと二人でイチジクの収穫。この日は30個ほど採れた。桑の実のジャムと合わせてバザーで販売することになる。

14日(木)午後から、NCA連続講座で「北森嘉蔵とその時代」についてZoomで講演。『神の痛みの神学』で知られるこの神学者の生涯を追うと、この国のキリスト教会の様々な課題が凝縮していることを考えさせられる。2時間話し続けるとさすがに疲れる。

16日(土)午前中、聖書と人間を考える会。インドネシアから西村正寛さんもZoomで参加。仏教学者の水谷香奈さんの発題「仏教における異文化対応」。特にマインドフルネスの流れが、ベトナム人僧侶ティク・ナット・ハンに始まるという経緯を知って興味深かった。(戒能信生)

2023年9月10日日曜日

 

2023年9月17日 午前10時30分

聖霊降臨節第17主日礼拝(No22

             司式 釜坂由理子

前  奏  黙想     奏楽 梅本 順子

招  詞  93-1-50

讃 美 歌  6

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編99・1-9

讃 美 歌  433(1-3節)

聖書朗読  創世記39・21-23

ルカ福音書20・45-21・6

祈  祷

讃 美 歌  433(4-6節)

説  教  「やもめの献げ物」

戒能 信生牧師

讃 美 歌  525

使徒信条  (9341A

献  金             鈴木志津恵

報  告

頌  栄  87

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(休校)

・礼拝後、オリーブの会(於・ホール)「明治維新と近代化資金」石井寛治(軽食の用意あり)

・ライブ配信担当・荒井眞

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

2023年9月9日土曜日

 

牧師の日記から(434)「最近読んだ本の紹介」

高倉徹牧師追悼『共に生きる』(新教出版社)1986年に亡くなった高倉徹牧師の追悼集。もちろん出版された直後に目を通しているが(何カ所にも傍線が引かれている)、現在『時の徴』に「高倉徹総幹事日記」を連載している関係で読み直した。改めて教えられ考えさせられるところがたくさんあった。一人の牧師の追悼集という枠を越えて、高倉徹牧師が生涯をかけて取り組んだ日本の教会とその課題について、いくつも示唆されるところがあったのだ。今、日本の教会は、コロナ禍の影響もあって教勢的にも低迷状態にあるが、何よりイエス・キリストの福音に立って、この時代と社会に訴えるべき使信を見失っているのではないだろうか。それは、他でもない私自身の説教の課題でもある。高倉先生がおられたら、頬っぺを膨らまし、顔を真っ赤にして叱咤するのではないか。

農村伝道神学校創立70年記念誌『荒野を拓く』(農村伝道神学校)この類の記念誌は、思い出話しが多く、部外者にはあまり面白くないのが通例だが、この70年誌に収録された文章の多くは一読して深い感銘を受けた。この神学校の卒業生の多くは、地方の農村教会や各地の小規模教会に遣わされることが多い。それぞれの地での各牧師の取り組みと苦闘に眼を開かされる想いで読んだ。私は農村伝道神学校の出身ではなく、講師の一人として関わって来ただけだが、全く知らなかったことをいくつも教えられた。特に農伝に併設されていた東南アジア科が、アジア学院として独立した経緯について、菊池創先生や星野正興さんの証言から初めて教えられるところがあった。また保育科営利農場の廃止に伴う痛みは、今もなお深く残っていることも知らされた。しかしそれにしても、この神学校のこれからの使命と課題について考えさせられる。

明治学院大学基督教学生会編『KAGAWA 20世紀の開拓者』(教文館)橋本茂さんからお借りして目を通した。本書は、賀川豊彦が亡くなった1960年の年末に刊行されている。賀川の生涯とその多面的な活動について、賀川の身近にいた12人の執筆者が証言している。このような出版物が、学生たちによって編纂されたことに驚く。没後間もない時期の企画だったこともあり、その当時の賀川評価がどのようなものであったかを知ることが出来る。厳しく言えば批判的検証よりも偉人賀川の礼讃が多いが、労働組合、農民組合、消費組合への取り組みなど、その多面的な足跡を記録した貴重な資料と言えるだろう。

原武史『線の思考』(新潮文庫)政治思想史研究者である著者が、鉄道ファンである趣味を生かして「鉄道と宗教と天皇」(副題)について書いたエッセイ。驚いたのは、小田急江ノ島線の善光駅の近くにあるカトリックの「聖心の布教姉妹会」と昭和天皇との関わりについて触れていること。昭和天皇が一時期カトリック信仰に近づいたことは知られているが、その具体的な歴史と背景を初めて知ることができた。(戒能信生)

2023年9月3日日曜日

 

2023年9月10日 午前10時30分

聖霊降臨節第16主日礼拝(No21

             司式 橋本  茂

前  奏  黙想     奏楽 内山 央絵

招  詞  93-1-50

讃 美 歌  6

主の祈り  (93-5A) 

交読詩編  詩編98・1-9

讃 美 歌  350

聖書朗読  ルツ記4・14-17

ルカ福音書20・41-47

祈  祷

讃 美 歌  290

説  教  「律法学者との論争」

戒能 信生牧師

讃 美 歌  522

使徒信条  (9341A

献  金             戒能 直子

報  告

頌  栄  87

派遣・祝福

後  奏 

 

【本日の集会】

教会学校(休校)

・礼拝後、「私の愛唱讃美歌」田沼大典

・ライブ配信担当・荒井久美子

礼拝堂の後ろに飲み物を用意してあります。水分補給にご利用ください。

2023年9月2日土曜日

 

牧師の日記から(433)「最近読んだ本の紹介」

リチャード・エヴァンズ『歴史学の擁護』(ちくま学芸文庫)イギリスを代表する近現代史研究者が、この間の歴史学をめぐる議論を整理してくれる大著(文庫本で500頁を越える)。レオポルト・フォン・ランケによって厳密な文献学による近代歴史学を確立され、それに社会学的な観点を加えたEH・カーの『歴史とは何か』が教科書的な位置を占めてきた。しかし1980年代以降、ポスト・モダンの時代になると、「脱構築」をスローガンとして従来の歴史観や固定観念に捉われない新しい歴史の見直しが提唱されるようになる。それが歴史相対主義を促進し、例えばナチズムが再評価されたり、極端な例ではホロコーストはなかったという言説までが一人歩きするようになる。このような傾向に対して、著者はポスト・モダニズムのアプローチの有効性を一定程度認めつつ、改めて「歴史学の擁護」を主張している。この本で紹介されているこの間の歴史学をめぐる議論に、いくつも思い当たるところがあった。実は、ある学生の論文指導を頼まれて知ったのだが、ミッシェル・フーコーの「ヘテロトピア」という概念を用いると、従来否定的に評価されてきた植民地支配なども、別の意味合いで再評価できることになるという。例えば、この国では満州帝国の樹立に「五族協和の理想」を求める歴史観が根強く残っているが、フーコーの理論を用いればそれを正当化できることになるという。そのような危険性を自覚しつつ、歴史から学ぶ姿勢を整えていく必要があるようだ。

及川琢英『関東軍 満州支配への独走と崩壊』(中公新書)日露戦争後の満州の権益を守るために駐屯部隊が設置され、やがてそれが関東軍として位置づけられた。その関東軍の誕生から敗戦による崩壊までを、軍事史の観点でまとめている。特に張作霖爆殺事件に象徴されるように、出先機関の謀略がどのように進められ、東京の政府と参謀本部がそれに引きずられ、ずるずる追認していった果てに太平洋戦争に至る経緯を改めて突きつけられる。もはや「新しい戦前」と言うよりも、「戦争が廊下の奥に立っていた」(渡邊白泉)と観るべき時代ではないだろうか。

最上光宏『命に通じる道』(新教出版社)隠退された最上牧師の小さな説教集が送られて来て目を通した。「山上の説教」や「主の祈り」の講解を読みながら、学ばされることが多かった。なにより分かりやすく、読みやすい。練達の説教者の模範のような説教集だが、今一つ物足りなさを覚えるのは、こちらがまだその境地に達していないせいだろうか。

トーマス・レーマー『ヤバい神』(新教出版社)旧約聖書にある不都合な記事(残忍な神、戦争や復讐を鼓吹する神、性差別的な表現等々)がどのような歴史的経緯で書かれたかを聖書学的に解説してくれる。「弁解するためではなく、より深く理解するための手がかりを提供」することが目的とされていて、大いに興味をもって読んだ。(戒能信生)