牧師の日記から(498)
12月1日(日)待降節第1主日礼拝。ガラテヤ書2・19—21の講解説教。「我生くるに非ず、キリスト我が内に在りて生くるなり」というパウロの言葉を取り上げたのだが、どうもうまくいかなかった。この年になっても、説教がうまく出来ない場合はつらく、心に重いしこりが残る。柏木義円牧師が、その晩年の日記に「今日の説教不出来、此次は大いに準備すべし」(昭和12年10月3日)と書き込んでいたのを思い出す。同じ77歳、亡くなる前年の義円の日記に、慰められるとともに励まされる。礼拝後、定例長老会。クリスマスの準備やクリスマス対外献金、また会堂・牧師館の改修について話し合う。
2日(月)午前中、市ヶ谷から四谷を散歩。書店に立ち寄り、読書会の課題図書となっている太宰治の『人間失格』(文庫)を求める。太宰の小説を久しぶりに読み返して、若き日の自分を思い起こす。
3日(火)午前中、四谷3丁目から4丁目近辺を散歩。書店で2025年の手帖を求める。また『聖書日課』や『日々の聖句』も用意した。新しい年の準備を整えることが出来るのは幸いと言わねばならない。
5日(木)午前中、教会堂のメインテナンスを依頼している工務店の金井さんが、会堂・牧師館改修工事の見積もりを持って来てくれる。その説明によれば、築72年が経過した礼拝堂の屋根や壁の補修(かなり傷んでいる)、会堂内部の床の軋みや不具合、また窓の開閉が出来なくなっているサッシの取り換え等の改修で、約280万円を要すとのこと。牧師館の方は、経年劣化している床や水回りの補修で80万円ほどかかりそう。先ず会堂の改修工事を実施し、2026年春の牧師交代期に牧師館補修の二期に分けての工事になるという。戦後建てられた木造モルタル型式の礼拝堂は、ほとんど姿を消しつつある。千代田教会の会堂は、比較的丁寧に手を入れて来ているので、なんとか100年を目指して維持したいと願っている。午後、梅本和義さんが来られて受洗準備会。この日はマタイ福音書の「山上の説教」を共に学ぶ。
6日(金)午前中は溜っている事務仕事。堀光男先生の『遺稿・追悼集』の準備。これも来年の大きな仕事の一つになりそう。夜は北支区連合祈祷会で王子教会へ。久しぶりに長尾有起牧師の奨励を聞く。
7日(土)午前中、聖書と人間を考える会。インドネシアから術後三カ月の検査で一時帰国している西村正寛さんも参加。この日は斎藤幸平の『人新生の資本論』について北島ちづ子さんの発題をもとに話し合う。その後、クリスマスということで久しぶりに四ツ谷駅前の中華料理「嘉賓」で昼食を共にする。(戒能信生)