2019年6月1日土曜日


牧師の日記から(216

526日(日)主日礼拝。ヨシュア記2章の講解説教「ラハブの赤い紐」。ヨシュアが派遣した斥候はエリコの遊女ラハブと接触する。彼女はこの都市国家の蔑まれた下層民を代表している。城壁に囲まれ武装した傭兵を備えるこの町の最大の弱点は、少数の支配者が圧倒的多数の農奴を使役していることにあった。ラハブは斥候を匿い、自分たちの助命を求める。その徴が赤い紐だった。マタイ福音書のイエス・キリストの系図にこのラハブの名前が織り込まれているのは偶然ではないだろう。礼拝後、お茶の会、週報等発送作業、らふぁえる練習と続く。

27日(月)夜は日本聖書神学校の授業で、植村正久を取り上げる。図書館で関口安義著『評伝矢内原忠雄』を借り出す。なにせ700頁近く、8000円を超えるので、さすがに買えないのだ。ざっと目を通したところ、著者は芥川龍之介研究が専門のキリスト者で、芥川と一高・東大で同級だった矢内原を取り上げたのだという。さすがに周辺にまで目配りをした力作で、何より読みやすい。

28日(火)富士見町教会での東京教区総会に出席。総会記録審査委員会に千代田教会の総会記録を提出。昼休みに、橋本茂さんと一緒に神楽坂のレストランで昼食をご馳走になる。私がお世話になった先生方の話などをして楽しい一刻だった。午後の議事を忍耐しながら聞き、4時過ぎに総会記録を返却してもらって帰宅。少し脚が痛くなったのでタクシーを利用する。帰宅後、来週の長老会のアジェンダ案を作成して、長老の皆さんにメールで送付。

29日(水)午前中、聖書を学ぶ会でサムエル記下18-19章を取り上げる。アブサロムの反乱をダビデはなんとか鎮圧するが、ユダ族と他のイスラエル諸部族との間に深刻な亀裂が生じる。後に北王国イスラエルと南王国ユダの分裂の伏線とも言える。午後、友人の横野朝彦牧師が訪ねてくれる。昨年、番町教会を隠退して岡山に住んでいるのだが、所用のため上京した由。隠退後の生活もなかなか忙しいようで、この春から高槻日吉台教会の代務者になるとのこと。新教出版社から『協力と抵抗の内面史 戦時下を生きたキリスト者たちの研究』が届く。ここ4年ほど富坂キリスト教センターで続けて来た内面史研究会の成果。私は、大連西広場教会の月報『霊光』を元に白井慶吉牧師の戦時下の説教を取り上げた。10冊ほど余分があるので、希望者に読んでいただくことにする。いのちのことば社が来て、頼んでいた海老名弾正関係の新刊を届けてくれる。海老名研究者の關岡先生の資料集が大変有用だ。先週訪ねてくれた浦安教会の大野朝男さんから『台北済南長老教会歴史與信徒』が送られてくる。これまた600頁近い大著で、全文中文ではあるが、戦前の台北幸町教会時代の写真もたくさん掲載されている。

30日(木)午前中、四ッ谷駅近くの眼科で緑内障の定期検診。結局経過観察ということになる。内面史研究の本を10冊ほど、何人かの先輩や友人に恵贈する。7月のNCC70周年記念集会のために「戦時下の礼拝」を再現するプログラムを作成する。讃美歌は当時の時局讃美歌から選び、国民儀礼も組み込む。(戒能信生)

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