2019年12月14日土曜日


牧師の日記から(244

128日(日)アドベント第2主日礼拝。使徒言行録12章の講解説教「使徒たちの苦難」。ヘロデ・アグリッパ王によるエルサレム教会への迫害によって、ヨハネの兄弟ヤコブが斬殺され、ペトロも逮捕される。このような政治的な弾圧に対して教会は全く無力で、「教会では彼のために熱心な祈りがささげられていた」と記されるのみである。以下、ペトロが天使の介入によって解放される伝承が紹介されている。使徒言行録には何度か牢獄からの解放の奇跡が紹介されているが、それは初代教会の迫害状況を背景にしているのだろう。この獄からの解放の奇跡伝承は、同じような迫害下にある人々を励ますためのものだったろう。戦時下の救世軍やホーリネス教会の弾圧でも同じことが繰り返されている。

9日(月)夕方新宿のメガネ屋さんに立ち寄り、新しい眼鏡を受け取る。最近辞書などの小さな文字が読みづらくなり、多少は効果があるといいのだが。そのまま目白の日本聖書神学校で授業。この日は由木康の生涯を取り上げる。

10日(火)同人誌『時の徴』のために、11月の西中国教区教師研修会での講演「教団の宣教論の推移と課題」を整理して送稿。井上良雄先生の小説教もノートから起こして送る。夜は早稲田奉仕園での山口里子さんの新約ゼミに参加。マルコ福音書435節以下の「嵐を静めるイエス」の伝承が、アメリカのイエス・セミナーでは一致してマルコの創作と見做されているという。しかしまるまる創作とは考えにくいのではないか。何らかの伝承がもとにあったと想定するのだが。

11日(水)午前中、聖書を学び祈る会。列王記上17章以下の預言者エリヤの伝承を取り上げる。祭司たちが王の絶対権力の下で無力化されたのに代って、預言者たちが立ち上がり、活発な批判活動を始める。『羊の群』のために、永眠者記念礼拝の説教と北支区の学習会での講演「ホーリネス弾圧と日本の教会」の原稿を送稿する。後は、明日の講座のための準備とレジュメの作成。

12日(木)昼前からキリスト教会館へ行き、NCAの事務処理。ついでに謝恩日献金や台風被害のための対外献金を担当者に手渡しする。午後、連続講座「日本キリスト教史を読む」の最終講義。50人以上の参加者で会場は満杯状態。この講座を3年間続けて来て、この日が最終回。その後、参加者の有志でお茶の会があり、皆さんからいろいろな感想やご意見を伺う。最初の時期の講座を聞き逃した人たちから補講やアンコール開講の要望があった。どうしたらいいだろうか。

13日(金)この日は在宅日で、少しのんびりする。私たち家族からのクリスマス・カードに署名をする。故・雨宮栄一先生の書斎から見つかった遺稿について、新教出版社から出版することになる。来年前半はその校訂作業に追われることに。

14日(土)午前中、聖書と人間を考える会。西村正寛さんの「ボタ山での少年時代」の話を聞く。聖書研究はエレミヤ書4章で、既に紀元前7世紀に自然破壊についての記述があることが注目される。ただ預言者の裁きの預言について、翻訳上の議論があることを紹介する。午後は、説教の準備や週報作り。(戒能信生)

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