2021年11月20日土曜日

 

牧師の日記から(344

1114日(日)主日礼拝。ルカ福音書928-36の講解説教「山上の変容」。この伝承は、ペトロを初めとする弟子たちの一種の神秘体験に由来する。しかし共観福音書が、いずれも弟子たちの経験を相対化しているのは注目すべきだろう。つまり「弟子たちの無理解」のモティーフと結びつけているのだ。日本の教会で霊的・神秘的体験が強調されるようになるのは、明治の後半から大正期にかけて。そこにこの国の教会の一つの特質があると言える。午後、北支区日韓宣教協議会にZoomで参加。韓国の諸教会のコロナ対策やその中での取り組みを知ることができた。しかしインターネットの接続が不安定でよく聞き取れない部分もあった。

15日(月)夜は日本聖書神学校の授業。この日は赤岩栄を取り上げる。日本キリスト教史において、この特異な牧師によって、初めて教会内部からの宗教批判の契機が生れたと言える。ドイツの教会でニーチェやフォイエルバッハが現れたのと重ね合わせて見ることが出来るのではないか。

16日(火)午前中、神学読書会。バルトの『教義学要綱』の1314節を佐々木潤牧師の丁寧な紹介で読む。牧師6名、信徒1名の参加。午後、緑陰書房から、石浜みかるさんの『満州国キリスト教開拓村への道』の原稿が送られてくる。満州開拓についての石浜さんの総論とも言うべき内容で、これは資料集の解説としてよりも、一冊の独立した書籍として刊行した方が適切ではないか。『時の徴』の発送のための準備作業。購読料の振り込みを確認して整理し、宛名ラベルを印刷し、さらに購読依頼のための寄贈先のラベルを封筒に貼る作業。合計800通余の発送になる。

17日(水)一日書斎で仕事。私が東駒形教会在任中に翻刻した賀川豊彦の関東大震災救援活動に関わる第一次資料を、キリスト新聞社からオンライン資料集として刊行する計画が始まっているのだ。2023年は関東大震災から100年になることもあり、来年はその仕事が追われることになりそう。

18日(木)午前中は四ッ谷駅近くの眼科で定期検診。視野検査や眼底検査をして、一応緑内障の進行は押えられているとのこと。午後から『時の徴』162号の発送作業と編集会議。この日は下田洋一、小海基、酒井薫、縣洋一の各牧師と私の五人の同人が集まる。様々な情報を付き合わせて、コロナ禍で傷ついている教会を励ます編集内容を協議する。

19日(金)故・高倉雪子さん(大連西広場教会の副牧師)の長女柴田靜子さんから、高倉徹牧師の戦後50年分の日記と手紙類が送られてきた。価値があるなら用いて欲しいとのこと。特に1970年前後の教団総幹事在任当時の日記には、歴史的な意味があると思われる。ただこれは大仕事で、その整理と読み込みは大変な作業になる。協力者が必要とされるが・・・。

20日(土)日本聖書神学校の学生堀成美さんから、「疫病とキリスト教」についての卒論がメールで送られてくる。私が主査になっているので、精読しなければならない。次々に仕事が入るのは有り難いが・・・。(戒能信生)

0 件のコメント:

コメントを投稿