2023年2月18日土曜日

 

牧師の日記から(405

212日(日)主日礼拝。ルカ福音書158-10の講解説教「無くした銀貨の譬」。この譬は「見失った羊の譬」とペアーとして伝えられたはずが、マタイ福音書では省略され、初代教父たちもほとんど顧みないという。失った羊をあくまで探し求める羊飼いが「父なる神」のイメージと重なるのに対して、銀貨を無くした女性(主婦)では都合が悪かったからだという。この譬から私が連想したのは、大本教の教祖出口なおの初期の活動。人生の苦労を舐め尽した果てに神懸りした主婦なおが、近所の女性たちの相談相手になる。その際「失せ物」を見つけ出して喜ばれた。それが大本教の出発につながったという。「無くした銀貨」を探し求めてついに発見し、近所の女たちと共に喜び合うこの譬と重なるものがあるのではないだろうか。礼拝後「私の愛唱讃美歌」は萩原好子さんの担当。エルビス・プレスリーのCDからゴスペルが紹介された。プレスリーは、少年時代近くの教会のクワイアに参加し、それが彼の音楽の原点になったという。午後、早稲田教会での奉仕を終えた長尾有起牧師が来られて、担任教師辞任の書類を作成。長尾先生は、4月から北支区王子教会の主任担任教師として招聘されることになった。喜んで送り出したい。

13日(月)午前中、大久保の法務局に出向いて、教会の法人印鑑登録と履歴事項証明書を発行してもらう。教会の銀行口座の名義変更のため。帰りに新宿で降り、眼鏡屋さんでメガネを調整してもらう。小さな文字が読みにくくなっているため。夜は、明日の神学読書会の発題準備

14日(火)午前中、神学読書会。雨宮栄一先生の遺著『反ナチ抵抗運動とモルトケ伯』を紹介する。貴族や官僚、市民たちが協力して敗戦後のドイツ再建構想を協議したクライザウ・サークルは、21名のうち10名が処刑されている。モルトケはその中心人物で、やはり38歳で処刑されている。しかし彼らの構想が、戦後のドイツの方向性に決定的な影響を与えたとされる。しかしそれにしても、戦時下のこの国でこのような活動が起こらなかったのはなぜかを改めて突きつけられる。午後、散歩。

15日(水)午前中、散歩。午後、NCAの講座「キリスト教と文学」をZoomで受講。この日は柳田邦雄の『犠牲』が取り上げられる。心を病む息子が自殺を図り、脳死状態になってから亡くなるまでの11日間のドキュメントだが、脳死問題や臓器移植の問題などを考えさせられる。しかし何より身近な者の自死を受け止めかねる家族のドキュメントでもある。私自身が身内や親しい友人たちを何人も自死で失っているだけに、身につまされる想いで読まされた。著者の再生の物語でもある。

16日(木)午前中、眼科医で緑内障の検査。来年には白内障の手術になりそう。三菱UFJ銀行で口座の名義変更の手続き。その後、キリスト教会館の事務所に行き事務仕事。神学生交流プラグラムや来年度の講座等の準備。今年度の財政が赤字になりそうで頭が痛い。(戒能信生)

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