2019年8月3日土曜日


牧師の日記から(225

728()主日礼拝。ヨシュア記6章の講解説教「エリコの城壁は崩れた」。「孟夫人の涙」という中国の古い民話がある。あの万里の長城の建築のために、秦の始皇帝の命令によって多くの農民たちが強制労働に使役された。愛する夫を奪われた妻が、はるばる工事現場を訪ねると、既に夫は事故で亡くなっていた。妻は天を仰いで慟哭する。その涙がこぼれ落ちると盤石を誇った長城が崩れ落ちたという民話である。これは、強大な権力に対して、民の慟哭の涙が万里の長城をも崩すことを伝えている。エリコの城壁が崩れたというヨシュア記の物語も、同じような民の悲哀が込められているのではないか。この日の礼拝に古い友人の長谷川裕一さんが出席してくれた。私の手術や体調のことを聞きつけて見舞いに来てくれたのだ。簡単な昼食を共にしながら、お互いの近況を報告し合う。

29日(月)思い立って、六本木の国立新美術館に「ウィーン・モダン展」を観に行く。美術館に詳しい羊子の案内で、直子さんと一緒に連れて行ってもらった。梅雨明けして猛暑の日だったが、千代田線の乃木坂駅から地下通路で直接入れるので助かった。先々週東京都美術館でクリムトを観たばかりだが、この展観は世紀末のウィーンに焦点を合わせて、分離派のクリムトだけでなく、私の好きなエゴン・シーレの作品も数多く観ることができた。特にその素描が素晴らしい。どこかで昼食をと考えたが、猛暑を避けて、館内のレストランでランチ。ポール・ボキューズが設定したというお店で、比較的安くて美味しかった。夕方、四谷三丁目のJTBで、11月の西中国教区の教師研修会のために、往復の航空券を予約する。宿泊するホテルをつけるとパック料金とかではるかに安くなるのが不思議。

30日(火)支区の連合祈祷会のために、来年度の奨励者に電話で交渉する。年の功で、私が依頼するとほとんどの牧師が断らないのだ。夜は祈祷委員会。その後、近くの台湾料理屋で暑気払い。書斎で深夜まで、9月の北支区の沖縄問題連続学習会のために『旧沖縄キリスト教団第二世代牧師懇談会会議録』を読む。前後17回、335頁に及ぶ会議録なので、目を通すのに忍耐がいる。

31日(水)この日も猛暑が続き、終日、書斎に籠もって沖縄関連の資料に目を通す。第二世代の牧師たちが、本土の神学校に留学することによって、ヤマトンチュウの価値観に染まってしまったという痛切な自己批判が胸を打つ。沖縄独自の教会と信仰告白をという主張は理解できるのだが・・・。

81日(木)午前中から自転車で西早稲田のキリスト教会館へ。NCAの事務仕事と神学生交流プログラムの校正作業。宣教研究所で「合同とらえなおし」関連資料を借り出す。これも膨大な資料で、夜遅くまで資料を読み込む。

2日(金)長老会のアジェンダを作成してメールで皆さんに送る。友人の鈴木健治さんが、NHKラジオの宗教の時間で、満州開拓基督教村について紹介してくれと言ってきた。猛暑が続き、書斎に籠もってひたすら沖縄関係の資料に目を通す。夜は本郷中央教会での支区連合祈祷会に出席。(戒能信生)

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