2020年2月29日土曜日


牧師の日記から(256

223日(日)主日礼拝。ルツ記の講解説教。飢餓難民としてモアブの地に移住したユダヤ人一家が、男手をすべて失って、女性たちだけで失意のうちに帰国する物語。ナオミに最後まで付いてきた嫁のルツはモアブの女性で、この女性がダビデ王の祖先になったという説話。捕囚からの帰還後、民族主義の興隆と異国人排斥(エズラ・ネヘミヤ記)の雰囲気の中で、モアブの女性を主人公とする「ルツ記」が旧約聖書に編み込まれた意味を考えさせられる。礼拝後、週報発送作業とらふぁえるの練習。午後からは、火曜日から始まる集中講義の準備とレジュメの作成。

24日(月)午前中、立教大学に廣石望先生を訪ねる。3月半ばに予定されている神学生交流プログラムの打ち合わせのため。しかし最大の懸案は、新型コロナ・ウィルスの感染拡大にどう対応するか。今週中に方針を出して、参加者たちに連絡する手はずを整える。久しぶりの立教の様子はすっかり変わっていて驚く。午後は、信濃町教会での「聖書と差別人権講座」に出席。特に性的少数者に対する差別の問題を聖書学者の山口里子さんが分かりやすく講演してくれる。

25日(火)この日から農村伝道神学校での「日本宗教史」の集中講義。テーマは「この国の新宗教の変遷と社会基層の変動」。要するに江戸末期以降現在までの新宗教の歴史を辿り、そこにこの国の社会基層の心情を読み取ろうととする試み。今年の受講生は5名で、ゼミ形式でじっくり話し合うことが出来る。

26日(水)この日も引き続き集中講義。午後は、受講生たちにそれぞれ関心のある新宗教を選択して調べた内容を発題してもらう。この日、新型コロナ・ウィルスについての日本基督教団からの注意喚起が発表される。カトリック教会も当分ミサ中止の通達が出たという。こうなっては致し方なく、神学生交流会の中止・延期を決断し、その旨の文章を作成して、関係者に連絡するよう手配する。

27日(木)この日は集中講義のフィールド・ワークで、三鷹の井之頭公園の近くにある玉光神社を学生たちと訪ねる。本山一博宮司が学生たちの無遠慮な質問にも懇切に応えてくれる。午後は、杉並の宗教情報リサーチセンターを訪問。この国のあらゆる宗教情報が集積されている機関。新聞や雑誌、さらに各宗教団体の機関誌などの記事を検索できる。学生たちもそれぞれの関心から検索して、資料をコピーして貰っていた。卒論で利用すると、二人が会員になった。夜、安倍首相が全国の小中高の休校の指示。教会関係でも、次々に3月の予定の中止の連絡や注意喚起がメールで送られてくる。過剰反応にも見えるが、やむを得ない点もある。千代田教会の対応については、長老会で話し合うことになる。長老会のアジェンダを作成して、メールで送信。
28日(金)集中講義の最終日。午前中は講義で、2020年現在のこの国の宗教状況を分析し、午後からは受講生たちとゆっくり話し合う。ともかく新型コロナ・ウィルス騒ぎの中で、無事に4日間の集中講義が終ってホッとする。(戒能信生)

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