2020年10月31日土曜日

 

牧師の日記から(290

1025日(日)主日礼拝。神学生の齊藤織恵さんが、出エジプト記3章から「わたしはある」と題して説教を担当。分かりやすく明晰な話し方だが、やはり原稿を読んでいる感じがする(私もそうなのだが)。礼拝後、入門講座で「讃美歌の歴史②」。戦国時代にザビエルが来日した当時の西洋音楽との出会いと影響を紹介する。さらに江戸末期にペリーの黒船が浦賀沖に来航した際、1853710日の艦上主日礼拝で讃美歌21-24番が軍楽隊の伴奏で歌われている。また宣教師ルーミス夫妻によって讃美歌が導入された最初期の抱腹絶倒のエピソードや、「主われを愛す」の直訳調の歌詞を紹介する。後で梅本和義さんが、房総半島で美しい斑点のある固有の蝶を発見したのがルーミス宣教師で、「ルーミス・シジミ」と命名されていることを教えてくれた。ルーミスは多才な人で、日本の柿苗をアメリカに移植したり、リンゴの害虫を発見する等、植物学や昆虫学の世界にも足跡を残している。しかも、スペイン風邪の調査の過程で、このルーミス夫妻が、1920年、横濱でこの感染病で亡くなったことも判明して驚く。

26日(月)午前中、月曜会に出席するため東駒形教会へ。シュタウファーの『キリストとローマ皇帝たち』の9章以下を須賀誠二牧師の紹介で読む。訳者の川島貞雄先生も参加されてアドバイスしてくれる。夜は日本聖書神学校の授業。この日は受講生たちのリーディング・レポート。教会員の大森意索さんも出席されて、高倉徳太郎の日記について報告した。

27日(火)このところ少し忙しい日々が続いたので、この日は少しのんびりする。そこへ連絡が入り、NHKラジオ「宗教の時間」の収録が正式に決まったとのこと。来週、鈴木さんの自宅で収録することになる。コロナ禍で、密閉された渋谷のNHKスタジオの使用が難しいからだという。

28日(水)午前中、聖書を学び祈る会。この日は列王記下22章以下のヨシュア王の宗教改革を取り上げる。ユダ王国の末期、申命記法典に基づいて国家を立て直そうとするが、結局大国の興亡の狭間で非命の死を遂げる。午後は上林順一郎牧師の聖書講座のため早稲田奉仕園へ。創世記の創造物語はバビロン捕囚の経験を下敷きにしており、苦難の中での「呻きの信仰告白」だと教えられる。帰宅後、生活に困窮している人が訪ねて来て、その苦難の歩みを時間をかけて聞く。お金は貸せないけれど、せめて食べ物だけはと、直子さんがパックしてくれた食品類を渡す。

29日(木)午後、キリスト教会館でNCAの事務仕事。夜は江東区の大島市民センターで、深川教会時代の市民運動の仲間だった故・村田文雄さんの記念会に出席。懐かしい友人たちに久しぶりに会うことが出来た。

30日(金)午前中は農村伝道神学校の授業をZOOMで。矢内原忠雄を取り上げる。夕方から日本聖書神学校の全校修養会で講演「スペイン風邪と日本の教会」。先日の早稲田教会で講演した内容を、神学生向けに手直ししたもの。地味な資料の紹介をよく聴いてくれた。(戒能信生)

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