2021年10月16日土曜日

 

牧師の日記から(339

1010日(日)主日礼拝。ルカ福音書91017節の講解説教「五つのパンと二匹の魚」。福音書に度重ねて紹介されるパンの奇跡を取り上げる。その合理主義的な解釈の限界を、私の駆け出しの頃の失敗を通して紹介する。説教の後半で、自分の幼年時代の小さな体験を紹介すると、皆さんが笑ってくれた。説教における「笑い」の要素について、改めて考えさせられる。私はしばしば自らの失敗の経験をユーモアを交えて話すことがあるが、これは許されることなのか自問せざるを得ない。

11日(月)午後、西早稲田のNCAの事務所に行って、機関誌『はなしあい』と神学生交流プログラムの募金依頼の発送作業。夜は日本聖書神学校の授業で、金井為一郎を取り上げる。この神学校の創立者で、祈りと霊性の人として知られるが、残された日記に見られる戦時下の時局観との関連を考えさせられる。その神秘主義的な信仰理解と大本営発表そのままの時局観が並列しているところに、深刻な問題があるのではないか。

12日(火)一日在宅。夜は山口里子さんの聖書ゼミにZoomで参加。終了後、来年6月に来日するアメリカの聖書学者ベルナデッテさんの公開講演会の打ち合わせ。感染症の状況がどうなるか不明なので、このような企画の準備は苦労が多い。

13日(水)しばらく聖書を学び祈る会を休止にして来たが、11月から第2、第4水曜日の午前中に再開しようと考えている。個人的なことだが、私の妹の真理が、先週脳梗塞で入院した。この日の午後、直子さんと二人で見舞いに行くつもりだったが、少し体調が悪いので、もう少し状態の良いときに来てくれと連絡が入る。二つの違いの妹が、脳梗塞で倒れたのはショックだった。かなり後遺症も残っているようで案じている。私自身もいつ何時同じようなことがあるかも知れないと考えざるを得ない。

14日(木)午後、NCAの連続講座(Zoom)で内村鑑三を取り上げる。登録が90名近くで、この日も50名以上の人が全国で受講してくれるので、気を抜けない。1時間半の講演をして、その後質疑応答が終ると、どっと疲れが出る感じ。8月末にCOVID-19で亡くなった山下ひとみさんの兄上から手紙が届く。来年3月頃、簡素な記念会をすることになったとのこと。

15日(金)午前中、西片町教会に出向き、山本裕司牧師と人事のことで相談。ふさわしい後任者が与えられることを期待しているが、やむをえない場合は代務者を置いて、一年待つ可能性もある。この節、牧師の人事はなかなか容易ではない。

16日(土)午前中、聖書と人間を考える会。西村正寛さんがブレイディーみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を取り上げて、イギリスの教育事情を紹介してくれる。午後、荒井博さん夫妻が来てくれて、柿の実の収穫と剪定作業をしてくれる。老木だが今年は成り年のようで、たくさんの実が成っている。(戒能信生)

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