2024年6月15日土曜日

 

 牧師の日記から(473

69日(日)主日礼拝。ルカ福音書2344-49の講解説教「百人隊長の証言」。十字架上でのイエスの絶命の様子を伝えるルカ福音書のこの箇所は、他の福音書と比べて最も短く簡潔。さらに「なぜ見捨てたのか」という絶叫を、「私の霊を御手に委ねます」という信仰深い祈りに変え、百人隊長の証言も「まことにこの人は正しい人だった」と変更する。すなわちローマ帝国への批判と対決の論調を和らげているのだ。そこに後の使徒言行録執筆を視野に入れたルカの主張があるのだろう。隠退教師の白戸清牧師が礼拝に出席された。礼拝後、「私の愛唱聖句」で橋本茂さんが、「日々反芻する聖句」を紹介された。特に伝道の書716の「汝、義に過ぎる勿れ、賢きに過ぎる勿れ」の紹介が印象的だった。

10日(月)朝早く、深川時代の教会員白田武さんから電話。骨髄癌の末期と宣告されて一度会いたいとのこと。白田さんはイラストレーターで、1990年代にNCC大嘗祭反対署名運動センターから発行された『キリスト教と天皇制』の装幀やカットなどを引き受けてくれた。また『時の徴』のカバーデザインも長く担当してくれた。午後、久しぶりに越中島の白田さん宅を訪ねる。思ったより元気そうだったが、私への依頼は長年書き溜めたブログのデータを利用できないかという相談。出版は困難だが、データとして保存する方法を考えてみることを約束する。

11日(火)午後から富坂キリスト教センターで同胞教会史研究会。この日は大津教会の平山正道牧師が、1930年代の同胞教会の年会記録から詳しい報告をしてくれる。一見無味乾燥な記録だが、読み込んでいくと様々な事情が浮かび上がってくる。来年には共同研究の成果を出版しなければならないので、その出版計画や資金の手当についても協議する。

12日(水)午前中、赤坂の長野国助法律事務所で、故・松野ヤスコさんの遺言執行手続きについて、松居弁護士、平山弁護士、高橋享二税理士も交えて打ち合わせ。手続きそのものは順調に進んでいるが、さらに法定相続人たちへの連絡手続きが残っている。教会は原則として非課税なのだが、近年宗教法人を利用した脱税事件が横行しているので、注意を要するとのこと。午後、皮膚科受診。抗ヒスタミン剤を減量する。

13日(木)30年以上前、深川教会の教会学校に通っていたという女性から電話。神戸教会員の父上が末期癌で江東区の老人施設に入院し、余命一週間と宣告されているので、終末期の看取りと葬儀の相談。事情を勘案して、深川教会の友野芙美子牧師に対応してもらうこととする。

14日(金)一日書斎に籠もり、次号の『時の徴』のために「井上良雄小説教」と「高倉徹総幹事日記」の翻刻・校訂作業。地味な仕事だが、定期的にこの作業を等して私自身が学ばされ教えられることが多い。

15日(土)午前中は週報の作成や説教の準備。午後から柏木義円日記を読む会にZoomで参加。1920年の日記を精読する。(戒能信生)

0 件のコメント:

コメントを投稿