牧師の日記から(571)「最近読んだ本の紹介」
ハワード・ノルマン『カナダ合同教会 日本での100年(第二部)』(未定稿)グエン・ノルマンの担当した第一部に引き続き、1924年~1973年のカナダ・メソヂストの日本宣教の記録。取り分け戦前から戦中、そして戦後にかけての日本の教会の歩みが、宣教師たちの眼にどのように映っていたかを知ることができる。日本人を心から愛し、日本社会に対する深い理解と同情をもちながらも、天皇制と戦争体制に巻き込まれていく教会を、言わば切歯扼腕しながら見つめていた宣教師たちの姿が描かれる。中でもアルフレッド・ストーンは、大正期の終わりからカナ・メソの宣教師として活躍し、戦後すぐに再来日して日本の教会の再建と、とりわけ農村伝道のために尽くした。そしてあの青函連絡船洞爺丸に乗り合わせ、自分の救命具を日本人に譲って、自らは犠牲になった。文字通り日本のために命を投げ出したのだ。今でも農村伝道神学校にストーン記念館があるが、カナダから来た歴代の宣教師たちの足跡から学ぶことは多い。訳者の後藤哲夫さんから協力を依頼されて目を通した。立派な翻訳で、出版する意味がある。
中国引揚げ漫画家の会編『少年たちの記憶』(ミナトレトナス)先日、オリーブの会で橋本悠久子さんが大連からの引揚げの経験を話してくれた。その時にも、漫画家に満州からの引揚げ者が多く、その体験をイラスト入りで描いていることを紹介されていた。それで林信子さんが、その原本の大型イラストブックを持って来て貸してくれた。赤塚不二夫、上田トシ子、ちばてつや、北見けんいち、高井研一郎、古谷三敏、森田拳次など10数名の漫画家たちが、満州での戦中から戦後の実体験、とりわけ引揚げの記憶を、イラスト入りで証言している。この国の首相が日本の戦争責任について「自分は反省なんかしない」と発言したそうだが(そして今年の8月15日の発言でも「反省」という言葉が省かれた)、この漫画家たちの絵と証言は雄弁に日本の戦争責任を証ししている。その執筆者の一人千葉徹彌さんは、私の前任地の東駒形教会で、中学生の時、母親と一緒に洗礼を受けている。教会の近くに住んでいて、日曜学校の生徒だったのだ。当時の青年会の機関誌にイラストも描いている。それで2013年に東駒形教会創立90年の際、千葉さんを招いて特別講演をしてもらった。地域の人々も含めて100人以上の参加者があって、礼拝堂は満員だった。(戒能信生)
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